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上郷開発NO! 「市長意見書」批判―1

おかしいぞアセス課! 市長意見書で上郷開発計画にゴーサイン?

神奈川新聞は11日付けの紙面で「上郷開発の環境影響評価 再提出必要なし 横浜市長が意見書」と小さく報じた。
これは10日、林市長名で記者発表された「(仮称)上郷開発事業に係る環境影響評価審査会答申を受けての市長意見について」を受けたもので、東急建設による「上郷猿田地区開発計画」の環境影響評価について、「計画の修正に伴う環境に及ぼす影響が環境保全目標を超えて増加するおそれはない」ので、この先再提出の必要はない、とする意見書を市長が同社に出したとしている。

前回6月30日のアセス審査会(平成26年度第4回審査会)における答申案をめぐる審議では、奥副会長(首都大学東京教授、環境法・行政法)から「文章のつながりがオカシイ。市長宛の答申と事業者への意見が混同されている」という重要な指摘があった。
また津谷委員、水野委員などからもいくつか文章表現をめぐる意見があった後、1時間足らずの検討の末、佐土原会長が「まとめは会長一任で」と引き取った。

それが事務方である環境影響評価課(環境創造局)のスイコウ?を経て1週間後の7月7日付けの市長宛答申となった。
しかし、市長宛の審査会答申の冒頭にあった「なお今後の対応にあたっては、当審査会で指摘した事項について十分に配慮されるよう申し添えます」という意見が実はまったく配慮されることなく?、3日後の10日には東急建設宛の意見書に衣替えした。

都市計画提案は提案説明会、公聴会を経て、市の関係各部局の実務責任者で構成される「都市計画提案評価委員会」(メンバーは後述)での検討で提案の採否が諮られ、都市計画審議会で最終決定される。
しかし今回の東急建設宛の市長意見書はアセス審査会の佐土原会長名による市長宛の「(仮称)上郷開発事業が環境に及ぼす影響について」と題する答申をほぼそのまま踏襲する形で、東急建設社長宛の林市長名の意見書「(仮称)上郷開発事業の事業内容等修正届出書に係る環境影響評価について」としたため、アセス面の検討課題を大きく踏み出し、あたかも開発事業計画そのものが妥当であるかのような表現をとり、都市計画提案評価委員会の議を経ることなく計画にゴーサインを出した形になっているのだ。

市長は「十分な配慮」を、いつ、どういう形でしたのか? 「配慮」とは事業計画の実現で利益を得る東急建設に対してだけ向けられた言葉なのか? アセス審査の過程で出てきた地盤問題はじめ様々な都市計画に関わる問題点を、評価委のメンバーがそれぞれの立場・観点から検証・検討するにあたって「考慮されたい」ということではないのか?

*市長意見書については環境創造局のホームページを参照。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/kisha/h26/140710-1.html

文脈上もおかしな箇所が目立つ。
市長名の「意見書」での意見は、審査会による「審査意見」そのまま次の3項目にわたって述べられている。
 1 事業計画の修正に伴う環境影響の変化
 2 旧事業計画に対する審査書における市長意見への対応
 3 環境に配慮すべき事項
しかし手抜き工事?で文脈整理を怠ったためか、3の「環境に配慮すべき事項」のちぐはぐな項目羅列がそのまま東急建設向けの市長意見書となっている。

3で市長は「……旧事業計画を対象とした環境影響評価の審査で求めた市長意見に加え、以下に示す事項に留意してください。」と述べる。
 (1) 市民等との連携
 (2) 工事期間中等の近隣への配慮
 (3) 1号調整池の自然再生等
 (4) 防災
 (5) 盛土造成
 (6) 緑化
 (7) 生物生息環境
 (8) 地球環境への負荷の低減

「市民等との連携」「工事期間中等の近隣への配慮」は次項以下(3) ~(8) と並列して特記される事項だろうか。
しかも既報のように、アセス審査会における審査の透明性・公平性について疑念を陳情の形で投げかけられた菊本委員の問題に対して審査会そのものの対応が不明のままなのである。

■資料:横浜市都市計画提案評価委員会委員
(1) 建築局長
(2) 環境創造局政策調整部長
(3) 環境創造局みどりアップ推進部長
(4) 建築局企画部長
(5) 建築局建築指導部長
(6) 都市整備局企画部長
(7) 都市整備局地域まちづくり部長
(8) 都市整備局の提案区域を所管する部長
(9) 道路局計画調整部長
(10) その他提案内容に関連する局区の関係部長

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アンフェアな市の対応

今日14日付けで建築局都市計画課のHPに先の公聴会における公述の要旨が掲載されています。
まだ全容を精読・チェックしていないのですが、10番目の公述人の「ヘイトスピーチ」はカットされています。が、それについて何の説明もないのですね。市が主催した公(おおやけ)の場で、開発に異を唱える市民運動関係者に対し「地球から消えてしまえ!」もどきの脅迫的言辞を吐いた人間がいて、しかもそれを主催者であり進行責任者である都市計画課長が制止することも不適切発言と指摘することもなく、署名の会・守る会による批判を悪用?するかたちでその事実を公的な記録から抹消してしまう……。
しかも公述記録全体を読むとわかるのですが、まるで「後だしジャンケン」のように、公述人の意見よりも提案者である東急建設側の意見が長文。これはアンフェアだ! 
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上郷/署名の会

Author:上郷/署名の会
横浜7大緑地の1つ「瀬上市民の森」に連なる瀬上沢はホタルの自生地として知られ、貴重な動植物が生息する自然の宝庫です。またみどり豊かな里山風景を今に残し、古代の製鉄遺跡や江戸時代に使われた横堰などの文化遺産も眠る横浜市民共有の財産とも言うべき緑地です。
その瀬上沢に大規模な上郷開発計画が浮上したのは2005年。瀬上沢を愛し、それぞれに保全運動をしてきた市民は、2007年6月に「上郷開発から緑地を守る署名の会」を結成、開発計画の中止と緑地の全面保全を求める活動を開始し、同年12月、市内全域はもとより全国各地から寄せられた92000筆あまりの署名を添えて横浜市長と市議会に陳情書を提出しました。
2008年9月、横浜市都市計画審議会は計画を承認せず、「上郷開発事業」は中止となりました。しかし地権者でもある開発事業者・東急建設は引き続き「開発の意思」を表明。2012年1月、ついに第3次開発計画の事前相談書を横浜市に提出しました。私たち「署名の会」はあらためてこの開発プランの問題点を指摘、瀬上沢の全面保全を求めて新たな活動を開始しました。
そして2014年1月に始まった新たな動きがいま地域の住環境・自然環境を揺るがす重大な岐路に……。

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