円海山のこと-3
「峰の灸」 神奈川の名勝第3位の栄冠! ……ただし昔の話
横浜市中央図書館の市史資料室が出している『市史通信』第6号(2009.11発行)に「1935年神奈川県名勝・史蹟投票」を紹介する記事が掲載されていて、1位が愛甲郡半原(現・愛甲郡愛川町)の「石小屋」の284,726票。僅差の275,770票で2位が横浜市北方町の妙香寺。そして堂々3位が「峰の灸」(239,345票)とあります。

円海山の「峰の灸」が江戸庶民の"癒しの場”であったことは昨年の9月にちょっとふれたのですが、まさか神奈川県の名勝・史蹟のベスト3にランクインしていたとは驚きです。
この名勝・史蹟投票は1935年(昭和10)、神奈川新聞の前身である横浜貿易新報社の創業45周年を記念して行われた事業で、読者投票によって県下45カ所の名勝・史蹟を選定するというもの。
詳しい投票の推移についても紹介されているのですが、新聞の販売戦略の一環として行われたこともあって、様々なかたちで投票の盛り上げが図られ、日を追って首位が入れ替わる激戦だったようで、最終的な投票総数は450万~500万に達したとも。
われらが地元の「峰の灸」は「『峰のお灸』王座へ」、「“峰の円海山”驀進」という見出しで奮闘したものの、各地で村や町、氏子総代、青年団など挙げての猛運動(組織的投票)が展開されたようで、抜きつ抜かれつの結果、大量の組織動員票を獲得したところが上位に並んだようです。
このリストを見て特徴的なのは、江ノ島や金沢八景、鎌倉宮、鶴岡八幡宮、寒川神社や建長寺、円覚寺など、古くから定番の名勝・史蹟がほとんど含まれていないこと。いわば新興勢力の激しい首位争いの前に、老舗の影が薄くなってしまったようです。

政権交代と同じく観光名所の栄枯盛衰もまた世の倣いとはいうものの、ベストスリーについては神奈川県民なら頭の片隅に入れておきたい地名であることもまた事実です。以下、簡単に。
「石小屋」については初めて知る方も多いでしょうが、往時は中津川渓谷一の景勝地で、長さ8メートル、高さ4メートルの巨石が4メートル四方、高さ1.5メートルの自然石の柱に支えられるような形で乗っており、四畳半ほどの空間をつくり出し、巨石が小屋の形をしていたことから、いつしか石小屋と言われるようになったとか。
第2位の妙香寺は「君が代発祥の地」、「日本吹奏楽発祥の地」として知られていますので、ご存知の方も多いのでは? 当時の所在地は横浜市北方町ですが、もともとは久良岐郡北方村といい、明治22年の市町村制施行の際に本牧村となり、明治34年に横浜市に編入されて北方町。現在は妙香寺台となっています。
「峰の灸」については、春先、瀬上沢から円海山ハイキングコースを辿り、ぜひその目でご確認ください。もっとも記者は「お灸」のたぐいは未経験ですので薬効についてはよくわかりませんが。
横浜市中央図書館の市史資料室が出している『市史通信』第6号(2009.11発行)に「1935年神奈川県名勝・史蹟投票」を紹介する記事が掲載されていて、1位が愛甲郡半原(現・愛甲郡愛川町)の「石小屋」の284,726票。僅差の275,770票で2位が横浜市北方町の妙香寺。そして堂々3位が「峰の灸」(239,345票)とあります。

円海山の「峰の灸」が江戸庶民の"癒しの場”であったことは昨年の9月にちょっとふれたのですが、まさか神奈川県の名勝・史蹟のベスト3にランクインしていたとは驚きです。
この名勝・史蹟投票は1935年(昭和10)、神奈川新聞の前身である横浜貿易新報社の創業45周年を記念して行われた事業で、読者投票によって県下45カ所の名勝・史蹟を選定するというもの。
詳しい投票の推移についても紹介されているのですが、新聞の販売戦略の一環として行われたこともあって、様々なかたちで投票の盛り上げが図られ、日を追って首位が入れ替わる激戦だったようで、最終的な投票総数は450万~500万に達したとも。
われらが地元の「峰の灸」は「『峰のお灸』王座へ」、「“峰の円海山”驀進」という見出しで奮闘したものの、各地で村や町、氏子総代、青年団など挙げての猛運動(組織的投票)が展開されたようで、抜きつ抜かれつの結果、大量の組織動員票を獲得したところが上位に並んだようです。
このリストを見て特徴的なのは、江ノ島や金沢八景、鎌倉宮、鶴岡八幡宮、寒川神社や建長寺、円覚寺など、古くから定番の名勝・史蹟がほとんど含まれていないこと。いわば新興勢力の激しい首位争いの前に、老舗の影が薄くなってしまったようです。

政権交代と同じく観光名所の栄枯盛衰もまた世の倣いとはいうものの、ベストスリーについては神奈川県民なら頭の片隅に入れておきたい地名であることもまた事実です。以下、簡単に。
「石小屋」については初めて知る方も多いでしょうが、往時は中津川渓谷一の景勝地で、長さ8メートル、高さ4メートルの巨石が4メートル四方、高さ1.5メートルの自然石の柱に支えられるような形で乗っており、四畳半ほどの空間をつくり出し、巨石が小屋の形をしていたことから、いつしか石小屋と言われるようになったとか。
第2位の妙香寺は「君が代発祥の地」、「日本吹奏楽発祥の地」として知られていますので、ご存知の方も多いのでは? 当時の所在地は横浜市北方町ですが、もともとは久良岐郡北方村といい、明治22年の市町村制施行の際に本牧村となり、明治34年に横浜市に編入されて北方町。現在は妙香寺台となっています。
「峰の灸」については、春先、瀬上沢から円海山ハイキングコースを辿り、ぜひその目でご確認ください。もっとも記者は「お灸」のたぐいは未経験ですので薬効についてはよくわかりませんが。