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降雨量105ミリ 3日の大雨は観測史上7番目の記録 横浜地方気象台

平成16年(2004)10月、台風22号による雨で、いたち川下流、柏尾川にいたち川が流れ込んでいるあたりで100軒以上の浸水被害があったことは、まだ区民の記憶に生々しいことと思います。

そんなわけで、12月3日の大雨洪水警報によるいたち川大増水の知らせは沿線流域住民にとってはまさに危機の再来……。光田区長ならずとも眠られぬ夜を過ごした方も多かったのでは?
エリア情報「いたち川が危なかった!」(12月5日付け)に対して瀬上沢通信員の I さんから関連情報が届きましたので、続報としてお届けします!

排水能力の裏付けのない都市開発(緑地の破壊)は許されない!

いたち川の城山橋付近に設置された河川監視カメラの生々しい写真は、昨今各地で降る異常降雨の怖さを如実に物語っています。ブログの案内に従って
http://mizubousaiyokohama.jp/camera_syousai.cgi?point_code=546611 
で、1時間毎の映像を見ることができます。

この3日の大雨は7時から8時の間にいたち川流域で45mm/hと最大雨量となり、降り始めの午前0時半から9時に止むまでに105ミリの降雨量となりました。10分間雨量も7時50分前後に20mmに達し、これは横浜地方気象台における観測史上7番目の記録となっています。
上記のサイトで河川監視カメラの時間毎の映像を見ると、水位が時間毎の降雨量に即応しているのに驚かされます。 雨が降り止んだ9時の映像では既に水位が少し下がってきています。このことから次の事が推測されます。
「流出係数の低い(吸収率の高い)森林・原野・農地などに降った雨は、その調整機能により、遅く流れ出し、かつ、流出量も降雨の強弱による影響を平均化しているので、降雨の強さに呼応した水位の上下は主に舗装面や屋根などの流出係数の高いところに降った雨に起因するものである。」

そして、ここで危惧されるポイントは、
1.昔の開発地は調整池が設置されていない。近頃の開発地では調整池は義務付けられているが、その貯水容量はとても昨今の異常降雨に対応できるものではない。調整池が満杯になれば、流出係数の高いエリアから流出する雨水量は膨大なものとなる。
2.道路の拡充も(近年広げられた鎌倉街道など)そのほとんどが調整池を持たないので、ゲリラ豪雨即水害発生という危険性を増大させる結果となる。
3.調整池の容量を決める要素となる規制流出雨量は㎥/秒となっており、瞬間流量である。水捌けの悪い柏尾川を流出先に持ついたち川流域では、少なくとも強い雨の降り始めからの総雨水流出量を考慮に入れる必要がある。
4.柏尾川の排水能力は海までの落差が少ないことから海水面の高さに影響される。従って大潮の満潮時や台風接近で低気圧となった場合は、その排水能力は落ちることとなる。堤防決壊や堤防越水がなくても内水が発生し、マンホール等からの水の逆流で水害が発生する。
5.水害の未然防止のため河川改修、遊水地設置、浸透マス普及を図っているが、これまでの都市開発の付けを後追いで払っている状況である。……

以上のことから、排水能力の裏付けのない都市開発(緑地の破壊)はこれ以上、許されないという結論に至ります。(I.T.)

P5080808_convert_20101212181341.jpg
山手の丘の上に立つ横浜地方気象台(2010.5)。
横浜地方気象台は昭和2年(1927)に建てられ、平成21年に安藤忠雄事務所による保存再生事業でリニューアル。白亜の建物は観光スポットとして一般公開されている。

編集部注記:
1 12月3日(金)は満潮3:30、干潮8:40。降り始めころが満潮、急激に水かさが増したころが干潮で何よりでした。これが逆だったら浸水被害が発生していたかも?
2 平成16年は10個の台風が日本に上陸、首都圏においては10月に台風22号及び台風23号の襲来と秋雨前線の影響による暴風・豪雨に見舞われ、各地で交通網の分断、道路冠水、地下街の浸水等の被害が生じました。
特に台風22号は、伊豆半島での上陸時の中心気圧が950hPaで、東日本に上陸した台風の上陸時中心気圧は過去10年で最も低い値に。また10月の月降水量が東京で780.0mm、横浜で761.5mmとなり、それぞれ統計開始以来の月降水量の極値を更新したそうです。


■関連資料:ウイキペディア「柏尾川」から
柏尾川は、大雨が降るたびに氾濫し、また晴天が数日つづくと干上がってしまい流域の住民を困らせていたが、近世以降に度々行われた治水工事によって次第に水害・干害は減少していった。
しかし昭和30年ごろから始まる周辺地域の急速な宅地化によって、それまで水を蓄えていた水田・森林が減少すると、柏尾川の保水能力は低下し再び氾濫が頻発するようになった。昭和40年ごろより遊水地(栄区)の設置や川幅の拡張、川底の浚渫などさらなる治水環境の整備がたびたび行われたため、1982年以降大きな氾濫は絶える事になる。
久しく水害とは縁のなかった柏尾川だったが、2004年10月9日に関東地方を襲った台風22号では、低地となっている大船駅周辺、境川との合流地点である藤沢市川名付近など広い範囲で氾濫を起こし大きな被害を残した。このため地域住民からは治水対策の見直しを訴える声も聞かれた。
プロフィール

上郷/署名の会

Author:上郷/署名の会
横浜7大緑地の1つ「瀬上市民の森」に連なる瀬上沢はホタルの自生地として知られ、貴重な動植物が生息する自然の宝庫です。またみどり豊かな里山風景を今に残し、古代の製鉄遺跡や江戸時代に使われた横堰などの文化遺産も眠る横浜市民共有の財産とも言うべき緑地です。
その瀬上沢に大規模な上郷開発計画が浮上したのは2005年。瀬上沢を愛し、それぞれに保全運動をしてきた市民は、2007年6月に「上郷開発から緑地を守る署名の会」を結成、開発計画の中止と緑地の全面保全を求める活動を開始し、同年12月、市内全域はもとより全国各地から寄せられた92000筆あまりの署名を添えて横浜市長と市議会に陳情書を提出しました。
2008年9月、横浜市都市計画審議会は計画を承認せず、「上郷開発事業」は中止となりました。しかし地権者でもある開発事業者・東急建設は引き続き「開発の意思」を表明。2012年1月、ついに第3次開発計画の事前相談書を横浜市に提出しました。私たち「署名の会」はあらためてこの開発プランの問題点を指摘、瀬上沢の全面保全を求めて新たな活動を開始しました。
そして2014年1月に始まった新たな動きがいま地域の住環境・自然環境を揺るがす重大な岐路に……。

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