上郷開発NO! 市長宛て陳情書への回答(増補版)
軟弱地盤問題への市長回答届く アセス審にゲタを預けおざなり
6月26日に署名の会・守る会が連名で林市長宛てに提出した上郷開発事業計画予定地の「軟弱地盤問題」に関する陳情書に対する8月6日付けの回答が、やっと郵送されてきました。
お役所の流儀?なのでしょうか、今回もまたいつものように質問には真正面から答えず、(好意的に解釈すれば)市民の持つ軟弱地盤への不安提起や開発を認めた場合のリスクについての行政への責任追及に対し、「陳情書に書かれたことを踏まえ、評価委員会において提案の採否を決定する」という一般論での意思表示となっています。
■資料1:林市長からの回答

軟弱地盤問題についてはこの間ブログやチラシで様々な角度から問題点を指摘してきましたが、アセス審査会における審議&答申をふまえ7月10日付けで東急建設社長宛てに「意見書」を提出したこともあり、行政自らの責任については何もふれていません。なぜこうしたおざなりの回答をするまで1カ月半もの日時を要したのか理解に苦しむところです。
なお6月26日付けの陳情書提出については同28日付けの記事をご覧ください。
http://segamizawa.blog54.fc2.com/blog-date-201406.html
■資料2:軟弱地盤問題等に関する市長宛て陳情(6月26日付け)
件名 上郷猿田地区都市計画提案について
陳情項目
軟弱地盤地帯の市街化調整区域の市街化区域への編入を伴う、都市開発計画を認めないよう求めます。
軟弱地盤地帯の開発計画に対し、下記の通り市民が不安を抱いています。これに関する質問に端的にお答えください。
陳情の理由
現在横浜市の環境影響評価審査会において、標記の軟弱地盤についての審査が行われています。次の流れとして都市計画提案評価委員会が、このアセス審査の結果を踏まえて提案の採否を決定することとなっています。ここで提案が採択されると、軟弱地盤帯の開発計画地は市街化地区への編入が認められることとなります。
しかし市街地としての安全性に果たして保証が得られるのでしょうか。甚だ疑問です。
猿田、深田などの字名を持つこの軟弱地盤地帯は、2010年10月市が公表した「大規模盛土造成地の調査図」によれば、過去において既に約10m谷埋め盛土がなされており、東急建設の提案によればその上に更に最大で14mもの盛土を施し市街地を造成する計画となります。
更に上記の調査図に示された3600箇所の造成地のうち、1500箇所は安全性に不安が残るとして、横浜市は今後ボーリング等を含めた詳細な調査を実施する計画です。
このような状況のなかアセス審査会が、アセスの段階ではなくて造成を実施する段階になってから調査を行ない、各種法規に則った施工をすれば問題なしとの判断を現存するデータのみで行ない、都市計画提案の採否を決する評価委員会に進むことは、手順が逆であり十分な事前調査がなされたとは決していえません。アセス審査会の存在意義を無視する行為とも言えます。
(横浜市が2010年に公表した「大規模盛土造成地の状況調査図」及び2012年の 「液状化マップ」の開発計画地拡大図を添付)
質問
1. 東急建設及びアセス審査会の委員は、軟弱地盤対策として法規に則った施工法を適用すれば問題なしとの見通しを立てていますが、たとえどんなに高度で万全な技術で工事をする計画だとしても、もともとそこが軟弱地盤であって、地滑りや液状化が発生する危険性が高い地帯であるという事実からは逃れようがありません。
災害に対する各種の対策や法規はいつも、それまで想定していた以上の災害に見舞われてから初めて、後追い・後追いで強化されているのが現状です。これは過去の経験則に頼るものに過ぎません。 想定を上回る地震や豪雨があったとき、市民の生命や財産の保証についてはどこが責任をもつのでしょうか。また安全面だけではなく、災害によるインフラの損壊は、市の財政に大きな負担を与え、引いては納税者である市民に負担を強いる結果となります。そうならないという保証を、東急や横浜市はいったい、できるというのでしょうか?
2. 過去に経験した地震よりも強い地震に襲われないという保証はどこにもないなか、この軟弱地盤が市街地として、実際どれ程の強さの地震動まで耐え得るのかは、非常に重要な要素となります。「ここまでは安全」と保証できるのであれば、その地震動の具体的な数値(ガル)をお示しください。
3. 安全性に少しでも懸念が残れば、市民が不安に感じることは排除できません。
「生命や財産の安全保証や市民が安寧に日常を過ごす権利」と「経済性・利便性」とを比較することや、両者の間の妥協を考えるべきではありません。軟弱地盤という難問を抱えたこの市街地造成計画を、今夏に予定されている評価委員会において市が採択さえしなければ、何ら将来に禍根を残さなくて済みます。逆に提案を採択するという判断を下すならば、横浜市政・市民にとって大きな損失になると考えます。
これについての市長のお考えを伺います。
■資料3:コメント欄への投稿から(転載)
地盤問題についての記事を掲載後、本日昼前に栄区在住のNさんからコメントが届いていました。
「事なかれ主義」に流されがちなプロフェッショナルたちへの厳しい批判。評価委メンバーへのメッセージとして転載いたします。(編集部)
いつしか事なかれ主義に? 庄戸・N生
小生たまたまこうした問題について現役時代に関わった経験から時折ブログを拝見するのですが、お盆休みで地盤問題やアセス審査会についての記録(HP)などを斜め読みしてひとこと。
市長名の回答の執筆を担当したのは現場の責任ある立場の職員と思いますが、奉職時には使命感や責任感を持っていたはずと想像するのですが、市民の声にまともに応えないこんな対応を繰り返していくうちに、事なかれ主義、無責任な行政職員になっていくのでしょうね。
「地盤構造物は想定の約3倍の安全率を見込んで設計・施工」ということは、「地盤構造物はそれだけ不確かな材料・構造特性を持っている」ということを示しており、3倍の安全率を見込んでおけば、今までの経験上安全と見なせるということだけで、安全であるとは断言できないはずです。
神戸や今回の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で災害の起きた谷埋め盛土も、3倍の安全率を見込んで(正確に言えば、地震時の安全率はもっと低い、多分1.5のはず)いたにもかかわらず災害を引き起こしてしまいました。想定外?の地震力だから仕方ないのでしょうか。大規模谷埋め盛土なのですから、アセス審で審査にあたった研究者、それを下支え?した現場の技系職員としては、もう少し慎重な意見を述べて欲しいと思います。
6月26日に署名の会・守る会が連名で林市長宛てに提出した上郷開発事業計画予定地の「軟弱地盤問題」に関する陳情書に対する8月6日付けの回答が、やっと郵送されてきました。
お役所の流儀?なのでしょうか、今回もまたいつものように質問には真正面から答えず、(好意的に解釈すれば)市民の持つ軟弱地盤への不安提起や開発を認めた場合のリスクについての行政への責任追及に対し、「陳情書に書かれたことを踏まえ、評価委員会において提案の採否を決定する」という一般論での意思表示となっています。
■資料1:林市長からの回答

軟弱地盤問題についてはこの間ブログやチラシで様々な角度から問題点を指摘してきましたが、アセス審査会における審議&答申をふまえ7月10日付けで東急建設社長宛てに「意見書」を提出したこともあり、行政自らの責任については何もふれていません。なぜこうしたおざなりの回答をするまで1カ月半もの日時を要したのか理解に苦しむところです。
なお6月26日付けの陳情書提出については同28日付けの記事をご覧ください。
http://segamizawa.blog54.fc2.com/blog-date-201406.html
■資料2:軟弱地盤問題等に関する市長宛て陳情(6月26日付け)
件名 上郷猿田地区都市計画提案について
陳情項目
軟弱地盤地帯の市街化調整区域の市街化区域への編入を伴う、都市開発計画を認めないよう求めます。
軟弱地盤地帯の開発計画に対し、下記の通り市民が不安を抱いています。これに関する質問に端的にお答えください。
陳情の理由
現在横浜市の環境影響評価審査会において、標記の軟弱地盤についての審査が行われています。次の流れとして都市計画提案評価委員会が、このアセス審査の結果を踏まえて提案の採否を決定することとなっています。ここで提案が採択されると、軟弱地盤帯の開発計画地は市街化地区への編入が認められることとなります。
しかし市街地としての安全性に果たして保証が得られるのでしょうか。甚だ疑問です。
猿田、深田などの字名を持つこの軟弱地盤地帯は、2010年10月市が公表した「大規模盛土造成地の調査図」によれば、過去において既に約10m谷埋め盛土がなされており、東急建設の提案によればその上に更に最大で14mもの盛土を施し市街地を造成する計画となります。
更に上記の調査図に示された3600箇所の造成地のうち、1500箇所は安全性に不安が残るとして、横浜市は今後ボーリング等を含めた詳細な調査を実施する計画です。
このような状況のなかアセス審査会が、アセスの段階ではなくて造成を実施する段階になってから調査を行ない、各種法規に則った施工をすれば問題なしとの判断を現存するデータのみで行ない、都市計画提案の採否を決する評価委員会に進むことは、手順が逆であり十分な事前調査がなされたとは決していえません。アセス審査会の存在意義を無視する行為とも言えます。
(横浜市が2010年に公表した「大規模盛土造成地の状況調査図」及び2012年の 「液状化マップ」の開発計画地拡大図を添付)
質問
1. 東急建設及びアセス審査会の委員は、軟弱地盤対策として法規に則った施工法を適用すれば問題なしとの見通しを立てていますが、たとえどんなに高度で万全な技術で工事をする計画だとしても、もともとそこが軟弱地盤であって、地滑りや液状化が発生する危険性が高い地帯であるという事実からは逃れようがありません。
災害に対する各種の対策や法規はいつも、それまで想定していた以上の災害に見舞われてから初めて、後追い・後追いで強化されているのが現状です。これは過去の経験則に頼るものに過ぎません。 想定を上回る地震や豪雨があったとき、市民の生命や財産の保証についてはどこが責任をもつのでしょうか。また安全面だけではなく、災害によるインフラの損壊は、市の財政に大きな負担を与え、引いては納税者である市民に負担を強いる結果となります。そうならないという保証を、東急や横浜市はいったい、できるというのでしょうか?
2. 過去に経験した地震よりも強い地震に襲われないという保証はどこにもないなか、この軟弱地盤が市街地として、実際どれ程の強さの地震動まで耐え得るのかは、非常に重要な要素となります。「ここまでは安全」と保証できるのであれば、その地震動の具体的な数値(ガル)をお示しください。
3. 安全性に少しでも懸念が残れば、市民が不安に感じることは排除できません。
「生命や財産の安全保証や市民が安寧に日常を過ごす権利」と「経済性・利便性」とを比較することや、両者の間の妥協を考えるべきではありません。軟弱地盤という難問を抱えたこの市街地造成計画を、今夏に予定されている評価委員会において市が採択さえしなければ、何ら将来に禍根を残さなくて済みます。逆に提案を採択するという判断を下すならば、横浜市政・市民にとって大きな損失になると考えます。
これについての市長のお考えを伺います。
■資料3:コメント欄への投稿から(転載)
地盤問題についての記事を掲載後、本日昼前に栄区在住のNさんからコメントが届いていました。
「事なかれ主義」に流されがちなプロフェッショナルたちへの厳しい批判。評価委メンバーへのメッセージとして転載いたします。(編集部)
いつしか事なかれ主義に? 庄戸・N生
小生たまたまこうした問題について現役時代に関わった経験から時折ブログを拝見するのですが、お盆休みで地盤問題やアセス審査会についての記録(HP)などを斜め読みしてひとこと。
市長名の回答の執筆を担当したのは現場の責任ある立場の職員と思いますが、奉職時には使命感や責任感を持っていたはずと想像するのですが、市民の声にまともに応えないこんな対応を繰り返していくうちに、事なかれ主義、無責任な行政職員になっていくのでしょうね。
「地盤構造物は想定の約3倍の安全率を見込んで設計・施工」ということは、「地盤構造物はそれだけ不確かな材料・構造特性を持っている」ということを示しており、3倍の安全率を見込んでおけば、今までの経験上安全と見なせるということだけで、安全であるとは断言できないはずです。
神戸や今回の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で災害の起きた谷埋め盛土も、3倍の安全率を見込んで(正確に言えば、地震時の安全率はもっと低い、多分1.5のはず)いたにもかかわらず災害を引き起こしてしまいました。想定外?の地震力だから仕方ないのでしょうか。大規模谷埋め盛土なのですから、アセス審で審査にあたった研究者、それを下支え?した現場の技系職員としては、もう少し慎重な意見を述べて欲しいと思います。