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上郷開発NO! 広島の土砂災害に学ぶ―(2) 増補版

山崩れ 危ない過去が? 「猿田」という地名に隠された歴史 

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23日付け記事の時点ですでに八木地区は死者が25人も出ていた(朝日)

広島の土砂災害で最大の死者・行方不明者を出した「八木地区」という地名に隠されていた災害の記録――。
ところが東急建設による上郷開発計画が大規模造成の対象とする舞岡上郷線の西側部分、「深田地区」を含む事業計画にある「猿田」という地名について、楽天ブログの「仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル」2013年10月15日号に注目すべき記事が載っています。以下、全文転載させていただきます。
http://plaza.rakuten.co.jp/odazuma/diary/201310150000/

「猿田」という字名 おだずまジャーナル 2013年10月15日号

昨日に続き、宮城県内の災害を知らせる地名の話を。太宰先生の本を読みながら。(太宰幸子『地名に込められた伝言 災害・崩壊・津波地名解』彩流社、2013年) *昨日の記事 仙台・泉区の赤生津を考える(2013年10月14日)

水害を知らせる地名としては、昨日記した赤生津や荒川などのほか、袋、郎丸が関連する。また、ウメ(梅田など)、カケ(欠、懸、柿など)、カメ(亀田など)、ヨネ(米川、米山など)、ツル(鶴巻、鶴巣など)も水害を受けやすい地を示している。

崖崩れなどの災害を知らせる地名としては、クリ(栗生、栗木など)、アザブ・アオソ(麻布、青麻)、小豆、倉(大倉、沼倉)、サクラ(佐倉)、シロ、放れ、竹(竹谷など)、貫(平貫など)、萩(萩野など)が関連する。いずれも、崩れる、荒れる、取れるなどの言葉から生まれたものとされる。

中でも興味を引いたのが、「猿」である。
サルは、古語のザレ(礫)の転訛で、山の崩れて欠け落ちた所や岩の崩れることをいう。地名の例として挙げられているのが「猿田」で比較的多い地名とのことだ。

同書に説明されているものでは、
○猿田(石巻市北村)(平成15年宮城県北部地震で被災)
○猿田(角田市)(地元ではサンダと呼ばれる。猿田溜池がある。昭和61年8.5豪雨で地滑り。
○猿跳(さるぱね、丸森町)
○猿鼻(さるはな、蔵王町)ハナは地形が出っ張っていること。住所表記は町尻。東に猿頭の地名があり、ザレの始まりの地だろう。
もう一つある。この読み方が興味深い。
○猿田(ねこた、蔵王町)
地元では「去る」で縁起が悪いので猫にしたと伝わる。猿田と書いてネコタと読ませるのだから面白い。
松川と薮川の合流地点で、猿が来て田植えを手伝ったという伝説があるが、川が崖を曲流していて、古くから崩れていたのではないかという。
また、ネコは山の麓や山の根方を意味し、ここも山の際に位置している。私も地図を見てみた。蔵王町の宮地区の小字に猿田があり、読みはやっぱりネコのようだ。


■編集部注
=東北における地名が関東で同じ由来に基づくとは限らない。郷土の歴史に詳しい北條祐勝師(上郷・光明寺の前住職)の説についても引き続き取材・報告が必要だろう。
他方「サル」についてはウイキペディアに次のような記述があり、「猿田」との共通点があることに驚く。
沙流川(さるがわ) 沙流川の名は、アイヌ語のサラ:Sar=葭原(よしはら)に由来。 別名をシシリムカ:Sisirimukaとも呼ばれているが、これは流砂で河口部が塞がりやすいことを示していると考えられる。

こうした記述を上郷開発をめぐるアセス審における地盤面の審査を主導した地盤工学専門のK委員はどう考えているのだろうか? 6月19日付けのブログで紹介したK委員による「地盤災害から身を守るための4ケ条」をあらためて紹介する。
(1)どんな土地か調べましょう  (2)引っ越しましょう  (3)災害に強い家に変えましょう  (4)とにかく逃げましょう土地柄を調べて


■続報:横浜市の対応 ⇒8月29日付けでHPにUP!
横浜市の対応について注目していたところ、ようやく8月29日付けで危機管理室から「土砂災害への備えについて」と題する記事がHPにアップされました。危険箇所の造成や建築の規制、危険にそなえた「まちづくり」というよりも、どうしたら事前に危険をキャッチし逃げられるかが主眼のようですが、念のため一読を。
http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/kikikanri/doshasaigai-sonae.html

上郷開発NO! 広島の土砂災害に学ぶ―(1)

消された先人の警鐘  「八木地区」に埋もれていた水害の歴史

26日(火)の昼前、広島の土砂災害関連のニュースを見た読者から驚くべき内容のブログ記事が送られてきました。
今回の災害で最大の死者を出した「八木地区」が古くは「悪谷(あしだに)」といういわくつきの地名で「山からの水の通り道」とされていたというのですね。

「にんじ報告」というタイトルの芸能ニュースを中心とするブログ。
そこに次のような見出しを掲げた記事が載り、その後急速にさまざまなHPやブログへと拡散されています。
以下、全文転載させていただきます。

2014年08月26日 09:28
広島市安佐南区八木3丁目、かつては「蛇落地悪谷」という地名だった。
由来は「竜の首が落ちた場所」 災害に警鐘を鳴らしたはずの地名、とくダネ!で紹介


土砂災害に見舞われている広島県広島市安佐南区八木地区(八木3丁目)ですが、この土地がかつて「蛇落地悪谷(じゃらくじあしだに)」と呼ばれていたことがわかりました。26日に放送されたフジテレビの番組「とくダネ!」で紹介されていました。

地元の住民によれば「あそこは山からの水の通り道だと聞いていた」「蛇落地悪谷という地名だった。今は八木3丁目って現代風の住所だけど」「昔は蛇が降りるような水害が多かったから、蛇落地(じゃらくじ)ってなった。それに悪い谷で"悪谷(あしだに)"。そういう伝説があった」という。

この「八木蛇落地悪谷」と呼ばれた地名が、いつのまにか「上楽地(じょうらくじ)」と呼び替えられ「八木上楽地芦谷(やぎじょうらくじあしや)」になり、そして現在は「八木」だけが残され、災害のイメージは地名からなくなってしまっているということでした。

130年の歴史を持つ地元のお寺「浄楽寺」の住職によれば「昔からの言い伝えで、"竜がいて、その竜の首をはねて、その首が飛んで落ちたところが蛇落地"。そういうふうな地名。竜というのは水の神様ですから、そういうふうなもの(災害)を収めたというのがあるかもしれない」ということでした。

そして、竜の首をはねた刀があると言われる地元の「光廣神社」には、竜を討伐した武将のすぐ横に、激しい水の流れが描かれた絵が存在。先人が災害の記憶を伝えようとしたものだ、ということです。

ただ、近年はその山の土砂災害よりも、頻繁に氾濫する川の洪水のほうが警戒されるようになり、先人の警鐘は消えてしまったということでした。

このような地名の呼び変えは、土地のイメージを良くするために、どこでも行われていることだそうです。もしかしたら自分の身近な土地も、かつては違う名前だったのかもしれません。気になる方は、図書館などで調べてみてはいかがでしょうか・・・。


編集部注=1999年、同じ広島の土砂災害で多くの死者を出した (土砂災害発生件数325件、死者24名)ことが「土砂災害防止法」の成立につながったことはニュースで度々報じられてきましたが、「地名」に託された先人の教訓がいつのまにか忘れ去られ、名を換え、大きな事故につながったとするなら、全国各地で同じことが?

東急建設による「上郷猿田地区都市計画提案」の場合、地名に隠された記憶は? 
「広島の土砂災害に学ぶ―(2)」に続きます。乞う、ご注目!(ブログ制作本舗)
プロフィール

上郷/署名の会

Author:上郷/署名の会
横浜7大緑地の1つ「瀬上市民の森」に連なる瀬上沢はホタルの自生地として知られ、貴重な動植物が生息する自然の宝庫です。またみどり豊かな里山風景を今に残し、古代の製鉄遺跡や江戸時代に使われた横堰などの文化遺産も眠る横浜市民共有の財産とも言うべき緑地です。
その瀬上沢に大規模な上郷開発計画が浮上したのは2005年。瀬上沢を愛し、それぞれに保全運動をしてきた市民は、2007年6月に「上郷開発から緑地を守る署名の会」を結成、開発計画の中止と緑地の全面保全を求める活動を開始し、同年12月、市内全域はもとより全国各地から寄せられた92000筆あまりの署名を添えて横浜市長と市議会に陳情書を提出しました。
2008年9月、横浜市都市計画審議会は計画を承認せず、「上郷開発事業」は中止となりました。しかし地権者でもある開発事業者・東急建設は引き続き「開発の意思」を表明。2012年1月、ついに第3次開発計画の事前相談書を横浜市に提出しました。私たち「署名の会」はあらためてこの開発プランの問題点を指摘、瀬上沢の全面保全を求めて新たな活動を開始しました。
そして2014年1月に始まった新たな動きがいま地域の住環境・自然環境を揺るがす重大な岐路に……。

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