久し振りに北の国からお便りします。
こちらではコブシが咲き、田起し桜の異名の通り、あちこちで田起しが始まっています。
ひと月遅れといったところでしょうか。
八重桜とくれば「奈良の都の八重桜 今日九重に~」、山吹とくれば「七重八重花は咲けども山吹の 実のひとつだになきぞ悲しき」。ところで、調べてみたら、一重の山吹には実が生るようです。二重以上の花びらは雄蕊が変化したものなので実は生らないとか・・・。
従って、七重八重の山吹に実がないと詠った兼明親王は正しい、なぞと無粋なことを言うのはさて置き、今日の本題。
貴ブログの編集子も落語通と見ました。先刻ご存知のことかと思いますが「道灌」という落語。築城の名手であり武の達人であった太田道灌が、若い頃、狩の帰りに雨宿りに入った一軒家で、雨具を借りようと所望する。家の若い娘が、申し訳なさそうに黙って山吹の一枝を差し出す。道灌、これが分からず、帰ってから家来に「蓑ひとつさえない」と和歌を捩って伝えられたと教わり、己の不明を恥じ、以来発奮、文にも名を残す人となったとか。果して若い娘でなかったらどうなっていたか。
出家前の佐藤兵衛丞義清という生臭い武士であった時の「西行」という落語も、狂歌のやりとりが面白いと思います。題名からして遊び心を含んだ噺(はなし)で、昔の日本人のユーモアーのレベルは大したものと、懐古に耽っています。
最近見つけたもので、やんごとなき七重八重の和歌を本歌取りした狂歌「七つ八つ音はすれども空吹きの 実のひとつだに出ぬぞ悲しき」が、どこかの大学のトイレに落書きにあり、脇に、その評「トイレとは、思考(シッコ)と空想(クソ)をするところなり」と書かれていたという話も、一応、お披露目しておきます。
尾籠な話となったついでに、詠み人知らずのこの名狂歌に、せめて詠み人を、と沈思黙考。
「御通事 内侍」は、あまりに直接的で品?がないので、「後架(トイレ)門院 堅姫」(身持ちの堅い姫)。
お次がよろしいようで!
久々に登場した「荒 家持 (あばらのやかもち)」さんのウンチク話につられ、つい夜更かしをしそうなのですが、明日(というか今日)は家人の助っ人で朝から出かけなければいけないので、残念無念。で、とりあえず宇宙人宰相に捧げるザレ歌を1首。
七つ八つ事業仕分けと叫べども実の一つだに上がらぬぞ悲しき
どうもイマイチですなあ…。
――茅屋面之(ぼうおくのつらゆき)
事業仕分けは進んでいるようですが・・・
「夕されば野辺の秋風身にしみて うずら鳴くなり深草の里」--藤原俊成
「一つとり、二つとりては焼いて食い うずら無くなる深草の里」--太田南畝(蜀山人)
「一つとり ふたつとりては吟味する うま味なくなる欲深の里」--荒 家持
荒(あばら)さんの素直な返歌を鑑賞しながら、ふと夕刊に目をやると、永田町では腹立ちまぎれの処分が下っているではありませんか。で、政治と宗教の話はご法度と知りつつ、早速、ザレ歌を1首。
一人去り 二人去りては 除名する うまみ無くなる 欲深の城
気になっていた「モリーユ」のことが「野に咲く花々」というサイトに載っていました。
トリュフの味すらトンとわからない身にモリーユの有難味なんぞまるでわかりませんが、念のためご紹介します。
それにしても「瀬上沢だより」を寄せてくれる通信員の I さんはいつ、どこで「モリーユ」を賞味し、また瀬上の森で発見したのでしょうか。
以下はブログ勝手連による引用です。
春になってから森の散歩が楽しくなると、真っ先にモリーユ(morille)というキノコを探したくなります。日本語では「アミガサタケ」というらしいです。なるほど、笠の部分がメッシュの網になっています。高価だけれど、その価値はある! モリーユは栽培されないので、高価なキノコです。
レストランで「モリーユ添え」などと書いてある料理に誘われて注文すると、小さなキノコが3個くらいしかのっていないこともあります。
しかし非常に美味! 生クリームのソースにこのキノコを入れただけで、すばらしいソースに変身してしまうのですから。
私自身も、どのキノコが一番好きかと言われたら、モリーユと答えてしまいます。
フランスで最高級キノコはトリュフとされています。でも、イタリアの白トリュフなどのように香りが強くて素晴らしいと思うのですが、それ以外のトリュフだと、正直なところ、「トリュフだ!」という感動だけで喜んで食べている気がしないでもありません。
トリュフとの違いもあります。トリュフは薄くスライスして生でも食べられますが、モリーユの方は生で食べたら有毒だそうですのでご注意ください! (以下略)
有毒なキノコなのですね。でも、たまに見かけるような気がするのですが。
アミガサタケを探しまわった後、目と鼻の先の尾根道に戻ってきてからヒョイと見つけました。人通りが多いのに踏まれもせず、露出した木の根の間に健気に一本発生していました。
一般に茸はその発生条件が微妙で、アミガサタケの場合は、桜・樫などの落ち葉が積り、冬場には日が当たり、発生時には湿潤で半日陰、風通し良く、従って蒸れないといったところですが、生える所には生えるようで、ここの環境は全く好くありません。
味についてお尋ねですが、先祖に見知らぬ茸を食べて、身罷った者がいて、いかに美味しいからと勧められてもミシュラぬ茸は決して食べてはならぬという家訓があり、これを堅く守っています。
観察するだけで未だにその味を知りません。しかし、世の中には勇敢な探究魔がいるようです。猛毒で、茹でている時に出る蒸気を吸っても危険というアミガサタケの仲間のシャグマアミガサタケを食べた人がいます。下記のURLを紹介しておきます。
www.ippon.sakura.ne.jp/kaihou...kiji/no13_09.htm