防災講座
河川の「50ミリ対応」について 備えあれど憂いあり―1
いたち川を含む柏尾川流域において、1時間に50㍉の降雨があっても水害が発生しないよう、その排水・貯水能力を向上させるため、堤防のかさ上げ、川幅拡張、河床の掘り下げ、遊水地や調整池設置など様々な努力が行われてきました。その結果、現在50㍉対応は完了し、60㍉対応に向け更なる整備を行っているそうです。
従来、柏尾川流域では水害に見舞われることが多々ありました。排水・貯水能力の改良施策によりその発生は一時治まったかに見えましたが、1955年頃から始まる大規模な住宅地開発や道路の拡充整備の結果、強い雨が続くと急激な出水を招くようになり、再び水害の発生が見られるようになりました。
加えて昨今、日本各地で記録される集中豪雨は100㍉を超えるものが珍しくなくなり、ついこの12月3日いたち川流域では45㍉/hの雨が降り、河川監視カメラのある城山橋付近で一時「避難判断水位」を超えました。
しかもこの日、緑区の長津田では63㍉/hの降雨が記録されており、もしこの雨が柏尾川流域に降っていれば、水害は免れ得なかったことでしょう。

昭和45年7月洪水の浸水状況(いたち川:天神橋付近)
河川の排水・貯水能力アップ施策が、これまでの都市化による水害発生の後追いとなっている上に、このような気候の激化が追い打ちをかけています。
良好な環境を次世代に残すという意味で緑地の保全や生物多様性が様々な場面で主張されていますが、それよりも一義的に充足されているべき住民の生命・財産の保全が後手に回り、対応できていないということにもっと注目すべきです。
そうすると、保水力に富む森林・原野・田畑などの緑地を保全し生物多様性を図ることは、取りも直さず喫緊の課題である生命・財産の保全に直結しているという事実に気づく筈です。 by I.T. (以下続く)
いたち川を含む柏尾川流域において、1時間に50㍉の降雨があっても水害が発生しないよう、その排水・貯水能力を向上させるため、堤防のかさ上げ、川幅拡張、河床の掘り下げ、遊水地や調整池設置など様々な努力が行われてきました。その結果、現在50㍉対応は完了し、60㍉対応に向け更なる整備を行っているそうです。
従来、柏尾川流域では水害に見舞われることが多々ありました。排水・貯水能力の改良施策によりその発生は一時治まったかに見えましたが、1955年頃から始まる大規模な住宅地開発や道路の拡充整備の結果、強い雨が続くと急激な出水を招くようになり、再び水害の発生が見られるようになりました。
加えて昨今、日本各地で記録される集中豪雨は100㍉を超えるものが珍しくなくなり、ついこの12月3日いたち川流域では45㍉/hの雨が降り、河川監視カメラのある城山橋付近で一時「避難判断水位」を超えました。
しかもこの日、緑区の長津田では63㍉/hの降雨が記録されており、もしこの雨が柏尾川流域に降っていれば、水害は免れ得なかったことでしょう。

昭和45年7月洪水の浸水状況(いたち川:天神橋付近)
河川の排水・貯水能力アップ施策が、これまでの都市化による水害発生の後追いとなっている上に、このような気候の激化が追い打ちをかけています。
良好な環境を次世代に残すという意味で緑地の保全や生物多様性が様々な場面で主張されていますが、それよりも一義的に充足されているべき住民の生命・財産の保全が後手に回り、対応できていないということにもっと注目すべきです。
そうすると、保水力に富む森林・原野・田畑などの緑地を保全し生物多様性を図ることは、取りも直さず喫緊の課題である生命・財産の保全に直結しているという事実に気づく筈です。 by I.T. (以下続く)