資料:市長ティー・ミーティング
林市長との「ティー・ミーティング」の概要 市長室広報資料全文収録
昨年11月16日に行われた林市長と署名の会との「ティー・ミーティング」。
その概要については11月30日付けで既報の通りですが、年頭にあたり上郷開発問題の現状と問題点を改めて浮き彫りにするため市民局広聴相談課がまとめたものを「資料」として一挙転載します。(2011年1月4日付け作成・発表)
注:以下の概要と写真は市長室の録音&撮影によるものです。11月30日の要約と併せ検討資料としてください。
■第2回ティー・ミーティング概要報告
平成22年度 第2回目のティー・ミーティング~ようこそ市長室へ~は、「上郷開発から緑地を守る署名の会」の皆様を市長室にお迎えし、"横浜市の緑を後世に残すための施策について"をテーマに意見交換を行いました。

日 時: 平成22年11月16日(火) 13:40から14:40まで
会 場: 市長室
出席団体: 「上郷開発から緑地を守る署名の会」(10名)
団体概要: 栄区上郷地区の大規模開発から緑地を守る運動をしている団体です。減少を続ける市の緑を守る方策を研究しています。
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(署名の会)
「上郷開発から緑地を守る署名の会」は平成19年に発足しました。緑があふれ、生物多様性に優れた栄区上郷地区の自然を守る活動をしています。今から数年前、上郷地区の大規模開発が計画されたことがあります。この地区が開発されれば、緑が失われることはもちろんですが、地域住民の生活基盤もがらりと変わってしまいます。そこで、私たちは、市と市議会及び開発事業者に反対の意思を強く伝え、署名運動を始めました。9万2千人の署名を集め、この開発計画はなくなりました。今後も上郷地区の自然を守り続けるため、活発な活動を行っていきたいと考えています。
(市長)
最初、この会を立ち上げる時に、メンバーの皆様はどのように集まられたのですか。

(署名の会)
誰か一人がリーダーとなって声をかけたのではなく、問題意識を持っていた人たちが、自発的に集まりました。そのため、最初は初めて会う人ばかりでした。
(市長)
素晴らしい絆ですね。署名の会の皆様からは、市長選の際、市の緑地保全に関するアンケートをいただきました。当時、特定の場所を知っていたわけではありません。ただ、私も緑の保全に関しては、横浜市の施策として大変重要だと考えています。10月には、名古屋市で開催された生物多様性国際自治体会議(cop10)に出席し、各国の皆様の前でプレゼンテーションをしてきました。私自身、自然が大好きで、バードウォッチングが趣味です。以前、栄区の自然観察の森に行きましたが、大変素晴らしく、感激しました。16種類もの哺乳類と、140種類ほどの鳥が生息しているそうで、横浜は非常に自然に恵まれていると感じました。
(署名の会)
瀬上沢地区も、負けないくらい豊かな自然を有しています。樹林地があり草地があり、綺麗な水にも恵まれ、沢山の鳥が生息しています。瀬上沢地区の鳥が、あちこちに出張しているのではないかと思うくらいです。私たちは、この地区の自然こそが横浜市の南部地域の中核であると考えています。そのため、この地区を横浜市の生物多様性の拠点として確保し、守り続けることが私たちの最終的な目標です。

(署名の会)
市の環境科学研究所の報告書では、円海山の自然の価値が、「横浜市の生物資源の多様性維持、自然とのふれあい拠点としてのエコロジカル・バンク」と記載されています。これを、栄区の緑を守るための柱にしてほしいです。
(署名の会)
上郷・瀬上沢の里山は、緑地としては市内で最大の面積です。この地区の開発を許せば、他の市街化調整区域の開発も、許さざるを得なくなってしまうのではないでしょうか。

(市長)
横浜市全体の将来を考えたとき、緑地保全はもちろん大切ですが、経済成長をはかることも大切です。両者のバランスを考える必要があります。市街化調整区域についても、この区域を完璧に守れば、緑はもちろん守られるわけですが、横浜市の中でご不便な生活をされている方のため、開発が必要な場合もあります。また、開発を行うか、緑を保全するかという問題については、その土地の所有者のご意向が大変重要です。慎重に話し合いを行った上で、方向性を決定する必要があります。
(署名の会)
民間業者は上郷開発の意志を捨てていません。横浜市の中でも、局によって、緑を保全しようという方向と、開発を進めようという方向と、違った方向に進んでいるような気がします。市長の決断で、横浜市政が、より緑地保全を重視した方向に進めば良いと思います。
(市長)
それぞれの局に使命があるので、市民の皆様からご覧になると、役所の組織は縦割りで相容れない方向性を持っているように見えるかもしれません。しかし、決して違う方向に進んでいるわけではありません。現在、縦割りを無くし、全体の中でトータルで考えていくことを進めており、今後は更にコミュニケーションを大切にしていきます。
(署名の会)
横浜みどり税によって、市の緑が守られることを期待しています。貴重な財源だと思うので、大きな視点を持ち、保全のために有効に使ってほしいです。上郷地区の保全活動をしている団体は私たちの他にもあり、この地区を散策している人も多数います。そういった人たちの気持ちが実れば良いと願っています。

(市長)
みどり税は、本来の目的である緑の保全のために、基金としてしっかりと積み立てていきます。また、みどりアップ計画については、昨年度は周知が徹底していなかったという印象があります。今後は、市民の皆様と協働した取組などを進め、広くPRをしていきたいと思います。
(署名の会)
他都市でも、たくさんの市民の協力のもとに、美しい里山の景色が残っているところがあります。横浜市民も、行政におまかせするのではなく、一緒に自然を守っていきたいという気持ちが強いと思います。

(署名の会)
例えば、元気な高齢の方々で協力して保全活動を行えば、介護予防にもなります。美しい場所で一生懸命汗を流せば、それだけで元気になります。それで里山が生き返れば、もっと素晴らしいことだと思います。
(市長)
横浜市民の皆様はとても意識が高く、公園愛護会が公園の維持活動や、ロードサポーターが道路際のお手入れなどを積極的に行ってくださっています。

(署名の会)
谷戸に立つと、昔の人がどのような工夫をして田んぼを作り、生活をしてきたかということが想像できます。貝塚や遺跡もあるので、どの辺りが海であったとか、どこまで田んぼが広がっていたかということが分かるのです。谷戸は、教育の観点からも非常に貴重な場所だと思います。次世代の子どもたちが、自然に囲まれて遊ぶことができるよう、是非、上郷の谷戸を残しておきたいです。
(署名の会)
昨今、降水量が100ミリを超えるときがよくあります。今のインフラの状況では、緑地を減らすと透水・保水力が減り、洪水につながります。市民の生命と財産を守るためにも、緑地は極力減らすべきではないと思います。

(市長)
私たちが子どもの頃は、谷戸が沢山あり、そこで普通に遊んでいました。谷戸は本当に素晴らしいところです。横浜の緑を残すことを考えたいと思います。ただ、限られた財源の中で、子育て支援や高齢者の問題、防災の問題など、いろいろなことにバランスを大切にしながら取り組む必要があります。緑地保全については、開発はいけない、保全はいけないという風に対立構造に持ち込むのではなく、お互いの接点を求めて、粘り強く話し合いを続けていくことが大切だと思います。本日はどうもありがとうございました。
-参加者の皆様のその他意見-
•上郷地区が開発されれば、緑の吸収力が減少し、大量のCO2が発生していまいます。環境保護の観点からも、この地区の緑は守られるべきだと思います。
•森林療法や園芸福祉の拠点として、民間の活力を引き出しながら緑を保全する方法もあると思います。民有地だからこそ、工夫してできることが沢山あるのではないでしょうか。
•以前、栄区の本郷台駅の裏には、国有の森がありました。私は、横浜市が森を購入して保全することを提案しましたが、財政難のために叶わず、マンションが建ってしまいました。もし、当時みどり税があれば、あの森を守ることができたかもしれません。
•栄区の人口は現在12万5千人であり、2055年には3分の2の8万人になると言われています。人口の増加している地域で開発を行うのはやむを得ないかもしれませんが、人口が減り、いずれ住宅地も余るであろう栄区では、是非開発をせずに緑を残してほしいです。
•上郷の谷戸で、子どもたちは自然に囲まれて遊んでいます。この思い出の沢山詰まったふるさとを、次世代の子どもたちにも是非残していきたいです。
昨年11月16日に行われた林市長と署名の会との「ティー・ミーティング」。
その概要については11月30日付けで既報の通りですが、年頭にあたり上郷開発問題の現状と問題点を改めて浮き彫りにするため市民局広聴相談課がまとめたものを「資料」として一挙転載します。(2011年1月4日付け作成・発表)
注:以下の概要と写真は市長室の録音&撮影によるものです。11月30日の要約と併せ検討資料としてください。
■第2回ティー・ミーティング概要報告
平成22年度 第2回目のティー・ミーティング~ようこそ市長室へ~は、「上郷開発から緑地を守る署名の会」の皆様を市長室にお迎えし、"横浜市の緑を後世に残すための施策について"をテーマに意見交換を行いました。

日 時: 平成22年11月16日(火) 13:40から14:40まで
会 場: 市長室
出席団体: 「上郷開発から緑地を守る署名の会」(10名)
団体概要: 栄区上郷地区の大規模開発から緑地を守る運動をしている団体です。減少を続ける市の緑を守る方策を研究しています。
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(署名の会)
「上郷開発から緑地を守る署名の会」は平成19年に発足しました。緑があふれ、生物多様性に優れた栄区上郷地区の自然を守る活動をしています。今から数年前、上郷地区の大規模開発が計画されたことがあります。この地区が開発されれば、緑が失われることはもちろんですが、地域住民の生活基盤もがらりと変わってしまいます。そこで、私たちは、市と市議会及び開発事業者に反対の意思を強く伝え、署名運動を始めました。9万2千人の署名を集め、この開発計画はなくなりました。今後も上郷地区の自然を守り続けるため、活発な活動を行っていきたいと考えています。
(市長)
最初、この会を立ち上げる時に、メンバーの皆様はどのように集まられたのですか。

(署名の会)
誰か一人がリーダーとなって声をかけたのではなく、問題意識を持っていた人たちが、自発的に集まりました。そのため、最初は初めて会う人ばかりでした。
(市長)
素晴らしい絆ですね。署名の会の皆様からは、市長選の際、市の緑地保全に関するアンケートをいただきました。当時、特定の場所を知っていたわけではありません。ただ、私も緑の保全に関しては、横浜市の施策として大変重要だと考えています。10月には、名古屋市で開催された生物多様性国際自治体会議(cop10)に出席し、各国の皆様の前でプレゼンテーションをしてきました。私自身、自然が大好きで、バードウォッチングが趣味です。以前、栄区の自然観察の森に行きましたが、大変素晴らしく、感激しました。16種類もの哺乳類と、140種類ほどの鳥が生息しているそうで、横浜は非常に自然に恵まれていると感じました。
(署名の会)
瀬上沢地区も、負けないくらい豊かな自然を有しています。樹林地があり草地があり、綺麗な水にも恵まれ、沢山の鳥が生息しています。瀬上沢地区の鳥が、あちこちに出張しているのではないかと思うくらいです。私たちは、この地区の自然こそが横浜市の南部地域の中核であると考えています。そのため、この地区を横浜市の生物多様性の拠点として確保し、守り続けることが私たちの最終的な目標です。

(署名の会)
市の環境科学研究所の報告書では、円海山の自然の価値が、「横浜市の生物資源の多様性維持、自然とのふれあい拠点としてのエコロジカル・バンク」と記載されています。これを、栄区の緑を守るための柱にしてほしいです。
(署名の会)
上郷・瀬上沢の里山は、緑地としては市内で最大の面積です。この地区の開発を許せば、他の市街化調整区域の開発も、許さざるを得なくなってしまうのではないでしょうか。

(市長)
横浜市全体の将来を考えたとき、緑地保全はもちろん大切ですが、経済成長をはかることも大切です。両者のバランスを考える必要があります。市街化調整区域についても、この区域を完璧に守れば、緑はもちろん守られるわけですが、横浜市の中でご不便な生活をされている方のため、開発が必要な場合もあります。また、開発を行うか、緑を保全するかという問題については、その土地の所有者のご意向が大変重要です。慎重に話し合いを行った上で、方向性を決定する必要があります。
(署名の会)
民間業者は上郷開発の意志を捨てていません。横浜市の中でも、局によって、緑を保全しようという方向と、開発を進めようという方向と、違った方向に進んでいるような気がします。市長の決断で、横浜市政が、より緑地保全を重視した方向に進めば良いと思います。
(市長)
それぞれの局に使命があるので、市民の皆様からご覧になると、役所の組織は縦割りで相容れない方向性を持っているように見えるかもしれません。しかし、決して違う方向に進んでいるわけではありません。現在、縦割りを無くし、全体の中でトータルで考えていくことを進めており、今後は更にコミュニケーションを大切にしていきます。
(署名の会)
横浜みどり税によって、市の緑が守られることを期待しています。貴重な財源だと思うので、大きな視点を持ち、保全のために有効に使ってほしいです。上郷地区の保全活動をしている団体は私たちの他にもあり、この地区を散策している人も多数います。そういった人たちの気持ちが実れば良いと願っています。

(市長)
みどり税は、本来の目的である緑の保全のために、基金としてしっかりと積み立てていきます。また、みどりアップ計画については、昨年度は周知が徹底していなかったという印象があります。今後は、市民の皆様と協働した取組などを進め、広くPRをしていきたいと思います。
(署名の会)
他都市でも、たくさんの市民の協力のもとに、美しい里山の景色が残っているところがあります。横浜市民も、行政におまかせするのではなく、一緒に自然を守っていきたいという気持ちが強いと思います。

(署名の会)
例えば、元気な高齢の方々で協力して保全活動を行えば、介護予防にもなります。美しい場所で一生懸命汗を流せば、それだけで元気になります。それで里山が生き返れば、もっと素晴らしいことだと思います。
(市長)
横浜市民の皆様はとても意識が高く、公園愛護会が公園の維持活動や、ロードサポーターが道路際のお手入れなどを積極的に行ってくださっています。

(署名の会)
谷戸に立つと、昔の人がどのような工夫をして田んぼを作り、生活をしてきたかということが想像できます。貝塚や遺跡もあるので、どの辺りが海であったとか、どこまで田んぼが広がっていたかということが分かるのです。谷戸は、教育の観点からも非常に貴重な場所だと思います。次世代の子どもたちが、自然に囲まれて遊ぶことができるよう、是非、上郷の谷戸を残しておきたいです。
(署名の会)
昨今、降水量が100ミリを超えるときがよくあります。今のインフラの状況では、緑地を減らすと透水・保水力が減り、洪水につながります。市民の生命と財産を守るためにも、緑地は極力減らすべきではないと思います。

(市長)
私たちが子どもの頃は、谷戸が沢山あり、そこで普通に遊んでいました。谷戸は本当に素晴らしいところです。横浜の緑を残すことを考えたいと思います。ただ、限られた財源の中で、子育て支援や高齢者の問題、防災の問題など、いろいろなことにバランスを大切にしながら取り組む必要があります。緑地保全については、開発はいけない、保全はいけないという風に対立構造に持ち込むのではなく、お互いの接点を求めて、粘り強く話し合いを続けていくことが大切だと思います。本日はどうもありがとうございました。
-参加者の皆様のその他意見-
•上郷地区が開発されれば、緑の吸収力が減少し、大量のCO2が発生していまいます。環境保護の観点からも、この地区の緑は守られるべきだと思います。
•森林療法や園芸福祉の拠点として、民間の活力を引き出しながら緑を保全する方法もあると思います。民有地だからこそ、工夫してできることが沢山あるのではないでしょうか。
•以前、栄区の本郷台駅の裏には、国有の森がありました。私は、横浜市が森を購入して保全することを提案しましたが、財政難のために叶わず、マンションが建ってしまいました。もし、当時みどり税があれば、あの森を守ることができたかもしれません。
•栄区の人口は現在12万5千人であり、2055年には3分の2の8万人になると言われています。人口の増加している地域で開発を行うのはやむを得ないかもしれませんが、人口が減り、いずれ住宅地も余るであろう栄区では、是非開発をせずに緑を残してほしいです。
•上郷の谷戸で、子どもたちは自然に囲まれて遊んでいます。この思い出の沢山詰まったふるさとを、次世代の子どもたちにも是非残していきたいです。