住民運動の動きレポート:続
残念! 初の住民投票成立せず 小平、投票率35.17%で開票せず
26日行われた道路計画の是非を問う東京・小平市の住民投票。
予め市が定めた成立要件の高いハードルをクリアーできず、民意のありようを見ることなく流れてしまいました。
有権者数約298万8000人にも及ぶマンモス都市横浜に当てはめれば、150万人が投票しなければ成立しないという、限りなく高いハードル。
特定の政治・行政課題についての「民意」をどういう形で反映させることができるか、代議制度の機能不全?が指摘される中、大きな課題を残しました。
……という次第で、ちょっと長いのですが、新聞の速報を転載します。
<小平市住民投票>投票率35.17%で不成立 開票せず
毎日新聞 5月26日(日)23時23分配信
東京都内で初めてとなる、住民の直接請求に基づく住民投票が26日、小平市で実施された。市内を走る都道計画見直しの是非が問われたが、投票率が50%未満であれば成立しないとの要件が課され、確定投票率は35.17%で不成立となった。投票者総数は5万1010人で、棄権者は9万4014人。市は投じられた票を開票せず、90日間保管した後に廃棄する。市が成立要件を課したことに批判も上がっており、今後も論議になりそうだ。【林奈緒美】
【都道計画見直し住民投票】成立要件厳しく、市民に失望感 高まらぬ関心
市選挙管理委員会によると、住民投票は午前7時~午後8時に市内27カ所で行われ、確定投票率は男性33.17%、女性36.56%。当日有権者数は14万5024人だった。
問われたのは、1963年に都市計画決定された府中-東村山市間の都市計画道路「3・2・8号線」(約13キロ)の未着工部分のうち、小平市内分(約1.4キロ)の計画を「住民参加により見直す」か「見直しは必要ない」か。都の計画では、市内の雑木林約500本を伐採して玉川上水の遊歩道を分断、約200世帯の立ち退きを求める。
これに対し、自然環境の悪化を懸念した「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」が直接請求に必要な署名の約2.5倍に当たる7183人分を集め、2月に住民投票条例の制定を直接請求した。条例案は3月の市議会で可決されたが、市はその後、投票率50%未満の場合は不成立とする成立要件を加えた条例改正案を提案。4月の臨時会で可決された。
住民投票が不成立となった26日夜に記者会見した小林正則市長は「(投票率50%未満では)市民の総意として容認できない」と述べ、開票の必要はないとの認識を改めて示した。
◇住民の関心広がらず
小平市によると、市町村合併以外の住民投票で「投票率50%以上」という成立要件が課されたのは計4例で、うち50%未満で成立しなかったのは1例だけだ。今年4月に山口県山陽小野田市で実施された住民投票で、議員定数削減の是非が争点となったが、投票反対派は「議員定数は議会が判断すべきで、住民投票になじまない」と主張。投票率は伸び悩んだ。小平市の住民投票も一部地域の道路計画がテーマで、住民の関心は広がらなかったとみられる。
今回、市は住民投票条例が成立してから、成立要件を「後出し」した。住民投票に詳しいジャーナリスト・今井一さんは「市が成立要件を設けたのはおかしい」と批判する。「計画を見直す必要はない」と考える人に棄権を勧める形になるからだ。今井さんは投票率ではなく、賛否いずれかの得票数が「有権者数の4分の1」となるなど、一定の割合に達した場合に成立とするよう主張する。
小平市民の間には▽今回の住民投票に3000万円の税金が投じられた▽開票結果に市や都が拘束されるルールはない▽住民投票は市民が賛否両方の意見を聞いて考え、判断を示すことに意義がある--ことから、市は投票率にかかわらず開票し、結果を公表すべきとの意見も少なくない。
ただ、夏の参院選の争点とされている憲法改正では、改正に批判的な専門家の間に「国民の意思を適切に反映させるため(改正の是非を決める)国民投票では一定の投票率を要件とすることが必要」という意見も根強い。住民投票に詳しいある専門家は「成立要件を認めるかどうかはジレンマだ」と話す。【林奈緒美、佐々木洋、前谷宏】
26日行われた道路計画の是非を問う東京・小平市の住民投票。
予め市が定めた成立要件の高いハードルをクリアーできず、民意のありようを見ることなく流れてしまいました。
有権者数約298万8000人にも及ぶマンモス都市横浜に当てはめれば、150万人が投票しなければ成立しないという、限りなく高いハードル。
特定の政治・行政課題についての「民意」をどういう形で反映させることができるか、代議制度の機能不全?が指摘される中、大きな課題を残しました。
……という次第で、ちょっと長いのですが、新聞の速報を転載します。
<小平市住民投票>投票率35.17%で不成立 開票せず
毎日新聞 5月26日(日)23時23分配信
東京都内で初めてとなる、住民の直接請求に基づく住民投票が26日、小平市で実施された。市内を走る都道計画見直しの是非が問われたが、投票率が50%未満であれば成立しないとの要件が課され、確定投票率は35.17%で不成立となった。投票者総数は5万1010人で、棄権者は9万4014人。市は投じられた票を開票せず、90日間保管した後に廃棄する。市が成立要件を課したことに批判も上がっており、今後も論議になりそうだ。【林奈緒美】
【都道計画見直し住民投票】成立要件厳しく、市民に失望感 高まらぬ関心
市選挙管理委員会によると、住民投票は午前7時~午後8時に市内27カ所で行われ、確定投票率は男性33.17%、女性36.56%。当日有権者数は14万5024人だった。
問われたのは、1963年に都市計画決定された府中-東村山市間の都市計画道路「3・2・8号線」(約13キロ)の未着工部分のうち、小平市内分(約1.4キロ)の計画を「住民参加により見直す」か「見直しは必要ない」か。都の計画では、市内の雑木林約500本を伐採して玉川上水の遊歩道を分断、約200世帯の立ち退きを求める。
これに対し、自然環境の悪化を懸念した「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」が直接請求に必要な署名の約2.5倍に当たる7183人分を集め、2月に住民投票条例の制定を直接請求した。条例案は3月の市議会で可決されたが、市はその後、投票率50%未満の場合は不成立とする成立要件を加えた条例改正案を提案。4月の臨時会で可決された。
住民投票が不成立となった26日夜に記者会見した小林正則市長は「(投票率50%未満では)市民の総意として容認できない」と述べ、開票の必要はないとの認識を改めて示した。
◇住民の関心広がらず
小平市によると、市町村合併以外の住民投票で「投票率50%以上」という成立要件が課されたのは計4例で、うち50%未満で成立しなかったのは1例だけだ。今年4月に山口県山陽小野田市で実施された住民投票で、議員定数削減の是非が争点となったが、投票反対派は「議員定数は議会が判断すべきで、住民投票になじまない」と主張。投票率は伸び悩んだ。小平市の住民投票も一部地域の道路計画がテーマで、住民の関心は広がらなかったとみられる。
今回、市は住民投票条例が成立してから、成立要件を「後出し」した。住民投票に詳しいジャーナリスト・今井一さんは「市が成立要件を設けたのはおかしい」と批判する。「計画を見直す必要はない」と考える人に棄権を勧める形になるからだ。今井さんは投票率ではなく、賛否いずれかの得票数が「有権者数の4分の1」となるなど、一定の割合に達した場合に成立とするよう主張する。
小平市民の間には▽今回の住民投票に3000万円の税金が投じられた▽開票結果に市や都が拘束されるルールはない▽住民投票は市民が賛否両方の意見を聞いて考え、判断を示すことに意義がある--ことから、市は投票率にかかわらず開票し、結果を公表すべきとの意見も少なくない。
ただ、夏の参院選の争点とされている憲法改正では、改正に批判的な専門家の間に「国民の意思を適切に反映させるため(改正の是非を決める)国民投票では一定の投票率を要件とすることが必要」という意見も根強い。住民投票に詳しいある専門家は「成立要件を認めるかどうかはジレンマだ」と話す。【林奈緒美、佐々木洋、前谷宏】