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上郷開発NO! アセス審査会速報(続)

郊外型住宅地の活力を殺ぐ? 美しい言葉に隠された上郷開発の問題点

東急建設が説明会当日に配布した資料からは読み取れない上郷開発計画の問題点。
28日(金)のアセス審査会で配布されたアセス(環境影響評価)の「修正届添付資料に関する捕捉資料」13ページには、計画提案書からピックアップされた「提案する都市のコンセプト」が改めて記されています。
 ①自然環境等の保全と創出
 ②安心、安全のまちづくり
 ③地域の活性化に資する“にぎわい”の創出
 ④環境に配慮したまちづくり
 ⑤地域交通の円滑化

このうち「②安心、安全のまちづくり」の中の医療施設誘致と地域防災拠点整備について、審査会では委員から液状化がらみの質問が飛んだのですが、実は「③“にぎわい”の創出」も液状化問題と並ぶ重要な問題点で、私たちが早くから指摘したきたことなのです。

「市街化区域の中に市街化調整区域が入り込む形」で「身近な自然を住民が享受しやすい環境」をつくり、それが「横浜の都市としての魅力」につながってきた(『横浜市民生活白書』2009、P112~113)のですが、市街化調整区域の市街化区域への編入を狙って東急建設は③で次のように美しい?言葉を連ねます。

「舞岡上郷線沿道に“にぎわい”を創出し、港南台から環状3号線に連なる“にぎわい”を環状4号線につなげ、上郷町を中心とする郊外型住宅地の活性化の一助とします。」

――しかしそれは文字通り“美辞麗句”では? 
この事業計画案の大型商業施設や医療施設とロードサイド店舗を同一視するつもりはありません。しかし沿道開発が「上郷町を中心とする郊外型住宅地の活性化の一助」になるでしょうか?

港南台駅前の“にぎわい”への影響とは別に、上郷・庄戸・桂台・野七里など舞岡上郷線の本郷車庫以遠のエリアの「まちづくり」を考える際、重要な視点が多く記されています。

以下、液状化問題の追究に先立って、討議資料としてフリー百科事典「ウイキペディア」の「ロードサイド店舗」からデメリットの記述をそのまま引用します。(長くてスミマセン!)

■ロードサイド店舗のデメリット

安価な商品が大量販売できるロードサイド店舗の繁盛により、それに打ち勝つことができない中心市街地の商店街が衰退し、シャッター通りの出現や街の空洞化が起こってまちづくりが破綻する。また、その業種の多くがファストフードやファミリーレストランなどの多国籍企業ないし全国チェーン店であるため、消費活動による収益が「地元」よりも「大都市にある本社・支社」などへ流れ、特に中心市街地の商店街にあった消費行動がこれらロードサイド店舗へ移行してしまった場合は地方経済全体の衰退にもつながる(また同時に、法人事業税や法人住民税の税収の二極化も誘発する)。それによってこれら「自動車による来店を前提とした店舗」が地域の主流になってしまった場合には、自動車を持たない(持てない)若年層や高齢者など交通弱者に悪影響を与えかねない(自転車やオートバイで来店する場合、多量の荷物を運べない欠点もある)。

そして将来、都市の人口が減少しロードサイド店舗の閉店が相次いだ際、その広大な店舗が廃屋となり、ゴーストタウンと化す危険性がある。

その他の問題点としては、以下のようなものが指摘されている。
自家用車の増大による渋滞、交通事故の誘発
自家用車の利用による環境負荷の増大
いびつな土地利用の誘発(都市圏の端や片隅など、均衡がとれていない位置に偏る)
全国チェーンの店舗が多く立地することから、街の個性的な景観は形成されず、どの地域にあるロードサイド店舗も同じような景観となる(いわゆるファスト風土化)。
自家用車を持たない(持てない)人々のアクセスが難しい(いわゆる買い物難民の発生)
それぞれの店舗建物の敷地面積が広く、ほぼ例外なく広い駐車場を持つことで店舗間の間隔が遠大になるため、高齢者にとっては徒歩でのウィンドウショッピングが難しい。
巨大看板による景観の阻害(光害)
外部からの観光客に無視・素通りされやすい。

また、典型的なロードサイド店舗であるパチンコ店や消費者金融業者の店舗の乱立を、これに併せて問題視する者も見られる。

さらに、ロードサイド店舗自身も、接続道路やバイパス道路の開通などの周辺地域の交通事情の変化の影響を受けやすい一面がある。確かに交通量が増加することは利用者数の増大にも繋がり得るメリットではあるが、他方でそれ以外にロードサイド店舗自身の存在なども要因となってバイパス道路の渋滞が慢性化した結果、さらに新たなバイパス道路が建設されることがある。そちら側にさらに大規模なロードサイド店舗が出店してきた結果、皮肉にも従来のロードサイド店舗のあった通りが空洞化を起こしてしまう、などという事態も見られる。

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駅から概ね1キロ?

行政は、高度成長期に広がりすぎた郊外の市街地について、人口減少、かつ住民の高齢化を迎え、少し前からコンパクトシティーを言い出した。これまで都市計画において長期的な展望を持ち得ず、対応が後手に回っている証左である。

今回の開発で東急建設は広がりすぎた周辺部の住宅地、桂台・野七里などと駅の間の結節地点に商店や医療施設を作ることが、住民への利便と町の活性化に資すると謳っている。

しかし、結節地点に新たな商店や医療施設ができることにより周辺部の住宅地に辛うじて残っている商店や医院が閉鎖に追いやられ、買物難民や医療難民が発生し、日本中の田舎で起きている界集落問題が正しくここ横浜・栄区において生じることとなる。

在宅介護へ向け舵が切られ、老々介護問題が顕在化してくる中、行政はこの問題をいかに捉え、いかに解決しようとしているのか。

本来、郊外に住宅地のニーズが存在することを前提とし、駅から概ね1キロ圏にコンパクトシティーを、それも先ず市街化区域においてというのが横浜市のまちづくりの考え方である。

それを開発業者が、都合よく「駅から概ね1キロ圏にコンパクトシティー」を自社のニーズに合わせて謳い、市街化調整区域を開発しようとしている。市はこれを、どう判断するのか?
プロフィール

上郷/署名の会

Author:上郷/署名の会
横浜7大緑地の1つ「瀬上市民の森」に連なる瀬上沢はホタルの自生地として知られ、貴重な動植物が生息する自然の宝庫です。またみどり豊かな里山風景を今に残し、古代の製鉄遺跡や江戸時代に使われた横堰などの文化遺産も眠る横浜市民共有の財産とも言うべき緑地です。
その瀬上沢に大規模な上郷開発計画が浮上したのは2005年。瀬上沢を愛し、それぞれに保全運動をしてきた市民は、2007年6月に「上郷開発から緑地を守る署名の会」を結成、開発計画の中止と緑地の全面保全を求める活動を開始し、同年12月、市内全域はもとより全国各地から寄せられた92000筆あまりの署名を添えて横浜市長と市議会に陳情書を提出しました。
2008年9月、横浜市都市計画審議会は計画を承認せず、「上郷開発事業」は中止となりました。しかし地権者でもある開発事業者・東急建設は引き続き「開発の意思」を表明。2012年1月、ついに第3次開発計画の事前相談書を横浜市に提出しました。私たち「署名の会」はあらためてこの開発プランの問題点を指摘、瀬上沢の全面保全を求めて新たな活動を開始しました。
そして2014年1月に始まった新たな動きがいま地域の住環境・自然環境を揺るがす重大な岐路に……。

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