上郷開発NO! アセス審レポート

アセス審の審査結果を疑う  東急建設と密接な関係?にある委員が審査を主導

もともとは民法の用語で利益相反という用語がある。利益が相反する立場を同一人が占めることは出来ない。裁判官が同時に原告であったり、被告であったりすることは許されない。それが法治国家のルールである。

既報のように現在横浜市環境影響評価委員会(アセス審)において東急建設が都市計画提案している上郷開発事業が審査されている。
その審査会において地盤工学を担当する菊本統委員(横浜国大准教授)は大規模盛土の沈下が指摘されている深田地区の軟弱地盤について「最新の工法でやったところは液状化の被害は出ていない。当該地区の盛土計画に問題はない。地盤沈下は問題ない。地下水位も排水管を敷設するので問題となることはない」と言い切った。

最初は事務局の代読(5月27日)、2回目は弁解を含めて自らの発言である。
明らかに地盤問題について幕引きを誘導する発言であった。開発事業者の東急建設にとっては願ったり叶ったりの「安全宣言」となった。
しかも、2回目となった6月17日の審査会に出席した菊本委員は特に発言を求め、「反対する団体がブログなどで地盤問題や液状化の危険性を指摘するのは周辺住民の不安を煽るものだ」と批判するとともに、「東急建設サイドだけではなく、開発に反対するNPOサイドから届けられた資料をも参照した」ともつけ加えたのである。

ところで審査会委員である菊本委員。東急建設の研究員と2回にわたり共同論文を執筆し(2013、2014 )、また東急建設と共に特許申請を行う(2013)という東急建設とは浅からぬ縁であることが分かった。若手の研究者として注目される氏にとっては、おそらく氷山の一角であろうが。

土木・建設・河川分野に限らず学問は現業である関連業界の研究者や現場と密接な関係があって当然である。それ自体をとやかく指弾するつもりはない。
しかし今回のアセス審査において地盤沈下問題は東急建設提案の主要な審査項目である。これを東急建設と利害を共にしていると見られる菊本氏が審査会委員として主導、審査したのである。「公正かつ適正な判断」が損なわれるとして禁じられている利益相反そのものであろう。そして懸念されたとおりの結論となった。(正式には30日の審査会で報告書が諮られる予定)

この際氏の学識・学説は問うまい。せめて東急建設関係の審査のうち土壌・地盤面だけは辞退するのが学者としてのモラルである。

この問題は横浜市にも責任がある。
横浜市は菊本委員の地盤問題の発言は無効として取り消すべきであろう。また、東急建設との関係を知っていて審査を委嘱したのなら、横浜市のアセス審査とは何なのか、審査の公平性・公明性とは何なのか、改めて審査会の存在意義が問われることになるだろう。

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 昨年の台風で盛土造成地の敷地が崩落した民家の写真
 (6月23日付け朝日新聞朝刊の社会面から)

追記―1 資料:菊本准教授らによる特許
特許については菊本准教授の教室のHPのプロフィール欄に4件の特許(出願中含む)を有していることが記載されている。しかし驚くのは共同出願人に東急建設の名があること。
 特許 http://www.cvg.ynu.ac.jp/G3/MamoruKikumoto/profile.html
1 菊本統,谷和夫,富樫陽太:原位置岩盤試験方法および試験装置,横浜国立大学(出願人),特願2013-148114,2013年7月.
2 菊本統,谷和夫,富樫陽太:三軸試験装置及び三軸試験方法,横浜国立大学(出願人),特願2013-244449,2013年11月.
3 菊本統,谷和夫,岡田哲実,高倉望,荻原啓太:ひずみテンソル算出システム,ひずみ計貼付方向決定方法,ひずみテンソル算出方法,及びひずみテンソル算出プログラム,横浜国立大学,電力中央研究所,東急建設(出願人),特願2013-251347,2013年12月.
4 菊本統,中村圭太,木谷憶人:不飽和土壌中の非水溶性液体の挙動解析方法,横浜国立大学(出願人),特願2014-109802,2014年5月.


■追記―2 資料:菊本委員の出席状況と地盤関連の意見の一部  23:30
上郷開発計画の審議が行なわれたのは2月18日~6月17日の計6回。このうちほぼ隔月で菊本委員は欠席&出席をし、3回出席したほか2回は文書で意見を寄せた。
・2月18日 欠席 *以下は事務局が読み上げた文書による意見
菊本委員より、東日本大震災では、特に集水地形や傾斜地に造成する谷埋盛土で甚大な被害が出ていることが報告されています。地下水位の低下や排水など地下水に関する対策、鋼管杭や補強土など傾斜方向への地盤の変位を抑える対策など、どの程度必要になってくると考えているか、どの程度の対策をとるのか確認させていただきたい、という意見です。
・3月5日 出席 *以下は当日の発言の一部
液状化について、臨海部の埋立地でよく起こるものとされていますが、水田や湿地を埋め立てた住宅街などでも被害は出ています。東日本大震災時には、小机駅周辺の湿地を埋めた住宅地で液状化がかなり発生しました。家屋が崩壊することはなかったものの、門扉が傾くなどの被害がかなり確認されています。
事業者資料30ページに、「事前に地盤調査等を実施し、対策工を検討いたします。」と記述されていますが、これは念入りに行っていただく必要があると思います。今時点で具体的な計画や考えがあれば教えてください。
・3月28日 欠席
・4月23日 出席
・5月27日 欠席
・6月17日 出席 
なお上記以外の発言は審査会の議事録を参照されたい。
 アセス審査会議事録


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開発を阻むもの憎し

菊本委員は、彼自身が講演会で市民の不安を煽っておきながら、緑地の保全を望む市民団体を名指しして「市民の不安を煽る」と公の場で非難している。

地盤工学の一専門家としてなら、自然保護活動に対しこのような敵対感は通常持ち得ないと考える。
このブログ記事にあるように、日頃からの東急建設との関係が、彼をして思わずそう言わしめたか? 隠せないものである。恐ろしや!
プロフィール

上郷/署名の会

Author:上郷/署名の会
横浜7大緑地の1つ「瀬上市民の森」に連なる瀬上沢はホタルの自生地として知られ、貴重な動植物が生息する自然の宝庫です。またみどり豊かな里山風景を今に残し、古代の製鉄遺跡や江戸時代に使われた横堰などの文化遺産も眠る横浜市民共有の財産とも言うべき緑地です。
その瀬上沢に大規模な上郷開発計画が浮上したのは2005年。瀬上沢を愛し、それぞれに保全運動をしてきた市民は、2007年6月に「上郷開発から緑地を守る署名の会」を結成、開発計画の中止と緑地の全面保全を求める活動を開始し、同年12月、市内全域はもとより全国各地から寄せられた92000筆あまりの署名を添えて横浜市長と市議会に陳情書を提出しました。
2008年9月、横浜市都市計画審議会は計画を承認せず、「上郷開発事業」は中止となりました。しかし地権者でもある開発事業者・東急建設は引き続き「開発の意思」を表明。2012年1月、ついに第3次開発計画の事前相談書を横浜市に提出しました。私たち「署名の会」はあらためてこの開発プランの問題点を指摘、瀬上沢の全面保全を求めて新たな活動を開始しました。
そして2014年1月、新たな動きが…?

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