上郷開発NO! アセス審批判―4
不可解な「問題ナシ」答申 アセス審の地盤問題審査に異議あり!
そもそも、環境アセスメントは、事業が環境に与えるインパクトとその対策を検討することであるはず。6月30日のアセス審査会は「仮称上郷開発事業に関する答申案」なるものをまとめて終了した。
しかも肝心の地盤沈下問題について、審査資格が疑問視されている菊本委員から「問題ナシ」の太鼓判?が押された。検討されるべきでありながらネグレクトされた疑問点は少なくない。このまま都市計画提案評価委員会に提出するにはあまりに内容には問題が多い。
同氏の資格問題、また場外乱闘的“上から目線”の発言とは別にして、引き続き技術面の内容についてもブログ編集部として専門家の助言を得ながら追究・追及していく方針である。
というわけで、ちょっと長く、ややこしい論点もあるけれど、週の初めにあたり上郷開発予定地の地盤などに「問題ナシ」としたアセス審査会の答申に異議申し立て!
<菊本発言の問題点について――アセス審査会会議録から>
「しかし、水をきちんと抜いて圧密沈下対策を行えば地盤を密に締めるということになり、」(会議録3p)について水を抜くという行為、地下水を引く抜く行為が必要ということを認めている。であるなら、どうして地下水の問題についてアセスの評価対象項目として最初から取り上げなかったのか。(⇒後出しジャンケン、問題点を指摘されてから評価を検討する、指摘されなければ頬かぶり)
どのような工法で地下水を抜くのか。地盤改良工法によっては、引き抜く地下水の量と処理方法(通常は垂れ流し)、工事車両増加、工事工程や期間が変わってくるので、評価書の修正が必要である。(⇒評価書の修正については、全く議論がでなかった)
地下水脈の流れの変更の問題もある。周辺地下水にどの程度の影響を及ぼすのか検討が必要である。
「この場所では液状化の懸念はないと考えています」(同4p最初の行)について
盛土造成前の現地盤には液状化の心配はないとしても、造成盛土の液状化安定性については検討しておくべきである。盛土中で地下水位が上昇しないよう地中に水抜き配管を埋設する計画であるが、i)造成盛土中の地下水位が低い状態を保つ、ii)全面的に見直された横浜市地震被害想定調査報告書(2012年10月)に基づく地震力の大きさは従来と同様であるとの条件が確保されることが必要である。
市の報告書 http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/kikikanri/jishinhigai/
そのためには盛土地盤についてi)盛土中の地下水位が低い状態を維持していることを確認する(地下水位の継時的観測が必要)、ii)地震力の評価は従来と同じであることを確認することが必要である。
「適切な調査、設計、施工が行われれば、新計画の開発面積や盛土高さをもって崩壊の懸念を強く指摘することはできません」(同4p)について
適切な調査・計画をなぜ、先延ばしにするのか。調査項目、盛土中の計測項目、施工等について具体的な内容を例示する必要はないのか。
以下懸念項目を列挙する。
安定解析を行えば、高盛土の支持力安定性、すべりの安定性、舞上線への偏土圧の大きさと舞上線の安定性の低下度合など、高盛土自身の安定度合いや、高盛土による周辺インフラの危険性増加度合いを容易に指摘できるはず。
市民から不安であると指摘されている造成盛土の液状化に対する安定度合いも、地下水位の位置を変えて実施すればいい。地下水位がどの位置まで来ると安定性が低くなるか、あるいは低くなっても規定の安全率を十分満足しているのか、一目瞭然にわかるはず。
適切な調査、計画を先延ばしにせず、アセスの段階で想定される危険性とそれに対する安全対策を示すべきであった。長期的に安全な盛土造成地とするためには、事前の調査、盛土工事の施工方法、盛土施工中や施工後の長期にわたる継続的な盛土の動態観測(沈下、辷り(横移動)、地下水位、間隙水圧、地表面亀裂)等について具体的な内容を説明し、市民の疑問に応えるべきではないのか。
特に、地中に埋設した水抜き配管の機能継続は重要な問題。地中水抜き配管が機能しなければ、盛土中に水が溜まり盛土中の地下水位が上昇し、盛土地盤の液状化の危険性も高くなる。
前述の横浜市地震被害想定調査報告書に対応して地震力の見直しが行われていない。なぜ、“適切な調査、設計、施工が行われれば”地盤は安定なのか。地震力の問題は大きな問題であり、横浜市として具体的に数値を明示すべきである。
<アセス審査会で議論されなかった問題点について>
現地盤表層の軟弱層(A1層:砂質シルト層)の強さ(粘着力23kN/m2:東急建設評価書資料編pp354)から考えて、載荷できる盛土高さはせいぜい7m程度、つまり最終盛土高14mの半分程度である。(⇒だから、地盤改良と段階盛土が必要となる。この問題に対しては、何も議論がなかった)
そのために、地盤改良が必要となり、盛土計画も変わる。(⇒後出しジャンケンのように、指摘されてから出してきている。)
細かいことになるが、軟弱層の増加強度確認のチェック土質調査も必要である。
段階的な盛土工事になれば、工事工程も変わるし土工量や重機計画の変更も必要である。(⇒環境影響評価書の修正が必要になる)
舞上線に与える偏土圧の問題を議論していない(⇒偏土圧がかからない対策工法を適用しない限り舞上線の道路盛土に偏土圧がかかり、舞上線の水平安定性が低くなる。⇒道路以外の既存インフラストラクチャー(上下水道配管、電柱・電線ケーブル)の安全性確保、最低でも現状の安定性を確保する検討を素通りしている。
そもそも、環境アセスメントは、事業が環境に与えるインパクトとその対策を検討することであるはず。6月30日のアセス審査会は「仮称上郷開発事業に関する答申案」なるものをまとめて終了した。
しかも肝心の地盤沈下問題について、審査資格が疑問視されている菊本委員から「問題ナシ」の太鼓判?が押された。検討されるべきでありながらネグレクトされた疑問点は少なくない。このまま都市計画提案評価委員会に提出するにはあまりに内容には問題が多い。
同氏の資格問題、また場外乱闘的“上から目線”の発言とは別にして、引き続き技術面の内容についてもブログ編集部として専門家の助言を得ながら追究・追及していく方針である。
というわけで、ちょっと長く、ややこしい論点もあるけれど、週の初めにあたり上郷開発予定地の地盤などに「問題ナシ」としたアセス審査会の答申に異議申し立て!
<菊本発言の問題点について――アセス審査会会議録から>
「しかし、水をきちんと抜いて圧密沈下対策を行えば地盤を密に締めるということになり、」(会議録3p)について水を抜くという行為、地下水を引く抜く行為が必要ということを認めている。であるなら、どうして地下水の問題についてアセスの評価対象項目として最初から取り上げなかったのか。(⇒後出しジャンケン、問題点を指摘されてから評価を検討する、指摘されなければ頬かぶり)
どのような工法で地下水を抜くのか。地盤改良工法によっては、引き抜く地下水の量と処理方法(通常は垂れ流し)、工事車両増加、工事工程や期間が変わってくるので、評価書の修正が必要である。(⇒評価書の修正については、全く議論がでなかった)
地下水脈の流れの変更の問題もある。周辺地下水にどの程度の影響を及ぼすのか検討が必要である。
「この場所では液状化の懸念はないと考えています」(同4p最初の行)について
盛土造成前の現地盤には液状化の心配はないとしても、造成盛土の液状化安定性については検討しておくべきである。盛土中で地下水位が上昇しないよう地中に水抜き配管を埋設する計画であるが、i)造成盛土中の地下水位が低い状態を保つ、ii)全面的に見直された横浜市地震被害想定調査報告書(2012年10月)に基づく地震力の大きさは従来と同様であるとの条件が確保されることが必要である。
市の報告書 http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/kikikanri/jishinhigai/
そのためには盛土地盤についてi)盛土中の地下水位が低い状態を維持していることを確認する(地下水位の継時的観測が必要)、ii)地震力の評価は従来と同じであることを確認することが必要である。
「適切な調査、設計、施工が行われれば、新計画の開発面積や盛土高さをもって崩壊の懸念を強く指摘することはできません」(同4p)について
適切な調査・計画をなぜ、先延ばしにするのか。調査項目、盛土中の計測項目、施工等について具体的な内容を例示する必要はないのか。
以下懸念項目を列挙する。
安定解析を行えば、高盛土の支持力安定性、すべりの安定性、舞上線への偏土圧の大きさと舞上線の安定性の低下度合など、高盛土自身の安定度合いや、高盛土による周辺インフラの危険性増加度合いを容易に指摘できるはず。
市民から不安であると指摘されている造成盛土の液状化に対する安定度合いも、地下水位の位置を変えて実施すればいい。地下水位がどの位置まで来ると安定性が低くなるか、あるいは低くなっても規定の安全率を十分満足しているのか、一目瞭然にわかるはず。
適切な調査、計画を先延ばしにせず、アセスの段階で想定される危険性とそれに対する安全対策を示すべきであった。長期的に安全な盛土造成地とするためには、事前の調査、盛土工事の施工方法、盛土施工中や施工後の長期にわたる継続的な盛土の動態観測(沈下、辷り(横移動)、地下水位、間隙水圧、地表面亀裂)等について具体的な内容を説明し、市民の疑問に応えるべきではないのか。
特に、地中に埋設した水抜き配管の機能継続は重要な問題。地中水抜き配管が機能しなければ、盛土中に水が溜まり盛土中の地下水位が上昇し、盛土地盤の液状化の危険性も高くなる。
前述の横浜市地震被害想定調査報告書に対応して地震力の見直しが行われていない。なぜ、“適切な調査、設計、施工が行われれば”地盤は安定なのか。地震力の問題は大きな問題であり、横浜市として具体的に数値を明示すべきである。
<アセス審査会で議論されなかった問題点について>
現地盤表層の軟弱層(A1層:砂質シルト層)の強さ(粘着力23kN/m2:東急建設評価書資料編pp354)から考えて、載荷できる盛土高さはせいぜい7m程度、つまり最終盛土高14mの半分程度である。(⇒だから、地盤改良と段階盛土が必要となる。この問題に対しては、何も議論がなかった)
そのために、地盤改良が必要となり、盛土計画も変わる。(⇒後出しジャンケンのように、指摘されてから出してきている。)
細かいことになるが、軟弱層の増加強度確認のチェック土質調査も必要である。
段階的な盛土工事になれば、工事工程も変わるし土工量や重機計画の変更も必要である。(⇒環境影響評価書の修正が必要になる)
舞上線に与える偏土圧の問題を議論していない(⇒偏土圧がかからない対策工法を適用しない限り舞上線の道路盛土に偏土圧がかかり、舞上線の水平安定性が低くなる。⇒道路以外の既存インフラストラクチャー(上下水道配管、電柱・電線ケーブル)の安全性確保、最低でも現状の安定性を確保する検討を素通りしている。