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上郷開発NO! アセス審批判―5(7/11加筆改定版)

アセス審査のやりなおしなど陳情  菊本委員の除斥も求める

9日(水)午後、署名の会&守る会は市長と市会議長宛てに陳情書を提出、市政記者クラブで記者会見を行ないました。

環境影響評価審査会」(アセス審)による市長宛て答申案が6月30日の審査会で了承されたことから、26日に提出した同委の菊本委員の「忌避」を求める陳情書をふまえ、審査会自体の審査のあり方などに関して新たに3項目の要望を行なったもの。

菊本委員は審査委員16名の中で唯一の土壌工学分野の専門家として開発事業計画の宅地造成面での審議をリードし、「問題ナシ」との太鼓判を押す先導役を担っただけに、審査そのもののやり直しを求める今回の陳情に対する市長の回答が注目されます。

なお今回の陳情は審査会の審議そのものへの異議申し立てであることから、佐土原聡会長(横浜国大教授)に対しても同趣旨の申し入れを試みましたが、同委の事務局である環境影響評価課(環境創造局)は佐土原会長に代わっての受領も中継ぎも拒み、大学宛の郵送となりました。

注:記者会見での取材に応じた新聞社は朝日・毎日・東京・神奈川・共同の各社です。

資料:アセス審問題の陳情書  (2014年7月9日付け)

                    陳 情 書                                                                                                                                  横浜市長 林 文子 様
                                  
               件名 上郷猿田地区都市計画提案について
陳情項目
1.上記都市計画提案に対する環境影響評価審査のやり直しを求めます。
2.上記の環境影響評価審査会平成26年度第3回会議録から菊本委員の
  問題発言(添付資料参照)の全文の削除を求めます。
3.「横浜市環境影響評価審査会運営要領」第7条に基づき、上記の案件の審
  査から菊本統委員を除斥するよう求めます。

陳情の理由
1. 6月30日に開催された第4回審査会において審議、了承された貴下宛の答申案では環境に配慮すべき事項として、軟弱地盤である開発計画地について、「盛土造成の設計施工にあたっては、事前に地盤の調査(ボーリング調査と土試験の圧密、せん断試験)を行い、含水比が高い軟弱な地盤の場合には盛土前に圧密沈下対策を行ってください。また、各種法令等を遵守し、法面勾配や排水工に留意した設計を行うとともに、締固め施行管理基準をまもって施工してください。」と述べ、開発事業提案が採択され施工設計の段階に入ってから各種条件を満たせば、軟弱地盤は問題がないとしています。
 しかしながら宅地造成にあたっては市民の生命及び財産の保護を図ることが前提とするならば、開発提案が採択されてから各種調査を行うのでは順序が逆であり、開発提案の採否を決める重要な要件である軟弱地盤問題について、ボーリングなどの各種調査は第一関門である環境影響評価審査において先に行うべきと考えます。
 これについては、平成26年度第1回の審査会において佐土原聡会長が「都市計画提案が認められた後に行なうとの回答ですが、地盤に関わることであり、事前にしっかりと検討しておく必要がある。」と発言していますが、その後、手順が逆になっているというこの指摘について十分な検討が行なわれず、審査委員の中で唯一地盤工学を専門とする菊本委員が主導し、開発提案の採択後施工設計に入ってから然るべきことを行えば問題がないとする見切り発車状態になっています。
 また答申案にある盛土造成前の地盤の調査や圧密沈下対策、各種法令等を遵守、法面勾配や排水工、締固め施行管理基準の順守などは、事業者が当然実施すべきことであり、事業者に「お願い」するものではありません。
 造成盛土による地下水の変化、造成盛土の鉛直・水平安定性や周辺インフラストラクチャー(上郷・舞岡線道路とそれに付帯する上下水道施設、電気・通信施設等)への影響(偏土圧や予想される変位)を事業者が事業着手前に具体的に検討し、その結果を基にして環境上の問題点の明確化とその緩和策を審議することこそ、環境影響評価審査会の役割のはずです。
 大規模谷埋め盛土の地震時安定についての統計的検討結果は、新規大規模谷埋め盛土の安定性の大まかな判断材料として利用しても構いません。しかし、本事業は事業実施場所が明確になっており、地盤調査結果や想定される地震力の大きさに基づいて盛土造成の安定性の具体的な検討を行えば、有無を含めて問題点が一目瞭然となり、対応策も事前検討・評価できます。事業実施前にすべき検討を回避し、事業着手後に事業者の手に委ねることは容認できません。
 さらに、この軟弱地盤地帯は、国交省からの指示により横浜市が2010年に公表した「大規模盛土造成地」の約3600箇所に含まれ、開発造成でこれから14mもの盛土を施す予定のところもある上に、既に過去において10m以上の盛土がなされていることが分かり、盛土の2段重ねとなります。しかるに、この大変重要な要件もアセス審査の俎上に上っていません。
 加えて、この「大規模盛土造成地」のうち1500箇所は安全性が不足するとして、市はこれからその具体的調査について検討を始めることが、昨年10月の市議会において、ある議員の質問で判明しています。
 このような状況において審査が十分尽くされておらず、今夏に予定されている都市計画提案評価委員会に向け、提案採択の道を開くこととなるこの答申案は極めて不当であり、市民の安全や財産の保全に対し十分な配慮が図られているとは、とても認めることができません。

2. 6月17日に開催された第3回審査会の会議録に記載された菊本委員の発言記録は、丁寧な説明を行っているかのような文体となっていますが、全体としては私達環境保全を訴えている市民の活動に対し、下記の通り予断と偏見に基づく内容となっているばかりか差別的な言辞を弄しており、公文書としてとても容認できません。当該発言の全文の削除をお願いします。
(1)会議当日の発言にはなかった「闇雲に」「盲目的」など、公けの文書には不適切な文言が、後日付け加えられている可能性があります。事実関係の訂正を除くこうした恣意的な加筆は審議の公開原則を歪めるものではないでしょうか。
(2)「地盤の安定の観点から周辺住民の不安を煽り、反対運動を起こすことは正しいやり方ではなく」と記されていますが、環境保全を望む団体が生物多様性の維持や遺跡の保全を訴えるのと同様に、軟弱地盤への市街地造成に危惧を抱き、「国富」(市民が安寧に日常生活を過ごすこと)が損われることがないよう未然に訴えることが、なぜ正しくないのでしょうか。
(3)菊本委員は専門家として、自らが昨年11月に行なった講演で、「どんな土地か調べましょう・引っ越しましょう・災害に強い家に変えましょう・とにかく逃げましょう」と、「大規模盛土造成地の調査図」を示し、その土地に既に居住している住民に対し不安を煽っています。
これに対し、私達は開発予定地が「大規模盛土造成地の調査図」に示されている約3600箇所の中に含まれていることに気付き、未だ住民が存在しない造成計画に対し警告を発しています。
私達に「周辺住民の不安を煽る」と非難するのなら、菊本委員自身の言動に対し、いかに釈明されるのか、また審査委員の任命権者である市長としてどう考えるのかお聞きしたいと考えます。

3. 「横浜市環境影響評価審査会運営要領」第7条には、(除斥等)と題し
「委員は、自己又は自己と密接な関係のあるものに直接利害関係を有する事項を審議する場合は、その審議に加わることはできない。ただし、審査会の同意があるときは、会議に出席し、発言することができる。
「委員は、利害関係者等からの質問、要請に対しては、個々に対応しないものとする。」と記されています。
菊本委員がこの開発案件に関わることが条文に抵触しないか、横浜市が各委員の任命に際し求めたとする、上記の利害関係事項に関する自己申告内容などを含め、次の要点につき十分な検証をし、個別に回答をお願いします。
(1)菊本委員が東急建設(株)から金品の受領をしていないか。
(2)菊本委員は東急建設(株)と共同で特許を取得しているが、これに係る費用負担の按分はどうなっているか。
(3)菊本委員は東急建設(株)の社員と共同で書籍を出版しているが、これに係る費用負担の按分はどうなっているか。

追記: 陳情項目の1及び2は本来、横浜市の関与するところではないかもしれませんが、お知りおきいただければ幸いです。
                                                   以上


■関連資料&解説
この日の記者会見では当日9日付け朝日新聞朝刊(第2社会面)の記事を資料として添えました。
東日本大震災で津波により壊滅的な被害を受けた陸前高田などの被災地での土地を約10メートル以上もかさ上げする「巨大盛り土工事」をめぐる安全性論議。

「懸念することはないだろう」「現在の技術で施工すれば問題ない」と、どこかで聞いたようなコメントを紹介された国立大学教授がいる一方、最高水準の工法が採用されたとしても数十年後には地盤が弱まる可能性を指摘する防災関係の京大教授のコメントなど、瀬上の開発をめぐるアセス審の動きを検証する上で大いに参考になるので、その一部を転載します。

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  Special thanks to 朝日新聞 7月9日(水) 

*解説:ブログへの記事転載にあたって
「盛り土の街 安全性は」との大見出しを掲げた朝日の記事――。
これもアセス審の菊本委員の論法からすれば「住民の不安を煽る」ということになるのでしょうか。

記事によれば、今夏から本格化する予定の「盛り土工事」の大半は2~3メートルの高さだが、南三陸町は最大14メートル、また女川町は最大16メートルの土地を盛り市街地を形成すると、どこか上郷開発事業と同じような数値が出てきます。

実は陸前高田や石巻、大槌町、釜石など被災地には震災直後の2011年7月以来何度も災害支援ボランティアとして入り海岸線に面した土地の形状を知る機会があったことから、住宅・商業エリアに適した平坦な丘陵部が非常に少なく、盛り土による市街地再形成についての自治体側・住民側双方の意見の隔たりは行政や工事施工企業の責任ウンヌンにとどまらず、地域コミュニティ再形成をめぐる方法論など深刻な課題を内在していることがよくわかります。

それにひきかえ、人口減・高齢化により新たな発想による「まちづくり」こそが追求されるべき郊外部において、市街化調整区域をあえて市街化区域に編入し、大規模な宅地造成工事によって「まち」を形成する必然性がどこにあるのでしょうか? 
都市計画審議会の第7回全市線引き見直し小委員会の審議の方向性と併せ、横浜の都市政策の基本姿勢が問われています。(ブログ編集部:M&M)

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上郷/署名の会

Author:上郷/署名の会
横浜7大緑地の1つ「瀬上市民の森」に連なる瀬上沢はホタルの自生地として知られ、貴重な動植物が生息する自然の宝庫です。またみどり豊かな里山風景を今に残し、古代の製鉄遺跡や江戸時代に使われた横堰などの文化遺産も眠る横浜市民共有の財産とも言うべき緑地です。
その瀬上沢に大規模な上郷開発計画が浮上したのは2005年。瀬上沢を愛し、それぞれに保全運動をしてきた市民は、2007年6月に「上郷開発から緑地を守る署名の会」を結成、開発計画の中止と緑地の全面保全を求める活動を開始し、同年12月、市内全域はもとより全国各地から寄せられた92000筆あまりの署名を添えて横浜市長と市議会に陳情書を提出しました。
2008年9月、横浜市都市計画審議会は計画を承認せず、「上郷開発事業」は中止となりました。しかし地権者でもある開発事業者・東急建設は引き続き「開発の意思」を表明。2012年1月、ついに第3次開発計画の事前相談書を横浜市に提出しました。私たち「署名の会」はあらためてこの開発プランの問題点を指摘、瀬上沢の全面保全を求めて新たな活動を開始しました。
そして2014年1月に始まった新たな動きがいま地域の住環境・自然環境を揺るがす重大な岐路に……。

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