上郷開発NO! 討議資料:評価委開催に寄せて
無定見なゴーサインを排す 「評価委」開催を目前にしての心配
緊急寄稿=署名の会:M1&M2
民間からも都市計画の提案ができるという都市計画提案制度により、東急建設㈱が横浜市に提案している「上郷猿田地区都市計画提案」の諾否をきめる都市計画提案評価委員会(評価委)がいよいよ24日に開かれる。
都市計画提案の問題点について環境部門、都市計画部門、河川部門、道路部門、あるいは地元の区など行政機関の各セクションと継続してきた議論では、最近は次々に新しい問題が発生しており、従来の課題は山積みで解決していない。
評価委員会がこうした問題について十分な検討を加えないまま、無定見にゴーサインを出す可能性があることが心配だ。次の指摘はその心配のほんの一部である。
1 計画は許認可の形式的要件を満たしていない
① 「整開保」を含む線引変更については行政が責任を持って行うべき行為であって、民間事業者が「まちづくり」の基本である線引(区域区分)の変更を提案することはなじまない。都市計画提案制度そのものは一つの手法として可としても、線引変更提案という提案はいわば脱法行為?である。行政機関はこの点について自覚をもって毅然として矜持を持って判断すべき事案である。
② 現行の「都市計画の整備、開発および保全の方針」(整開保)のもとで認可されることはない提案である。都市計画提案は仮に審査できたとしても許可できない案件である。神奈川県、横浜市においてそれぞれの議会で確認されている通りである。将来の法的環境が変化することを期待して、つまり将来整開保が改定されることを期待して都市計画提案を行ったとすれば、現行の整開保が生きているのであるから、本来ならば窓口却下とされるべき案件であった。
③ 市街化調整区域においては原則的に開発は抑制される。当該開発事業計画予定区域は「平成27年までに市街化をはかる区域に位置づけられていない」(平成24年3月助言書)とされている。こうした整開保の現状規定があり、また都市計画審議会の専門部会である線引小委員会で検討が行われているとしても、線引変更の将来は未定であり、27年以降の許認可を求める提案は法的根拠を持たず、許認可は法的効果を持ちえない。
2 開発計画の危険性は予見されており、横浜市の民事責任が発生する
都市計画提案に関する住民説明会、公聴会、アセス審査の過程で当該事業計画による軟弱地盤、液状化、洪水の危険性などが指摘されてきたが、これらに対する行政の対応は不十分である。このところ地球規模の気象変動により従来と異なる激甚な自然災害が多発しているが、横浜市においても都市開発のひずみを顕在化させる形で自然災害が発生している。いたち川の増水もかつてないほど脅威となってきた。行政の立場として、現行の法令に適合している以上は法令の基準に従って認可せざるを得ないと抗弁(強弁)している。
しかし50ミリを超える降雨が常態となっている現在、市民の安心安全を第一とすべき行政が、法令の不備を見過ごしにして、「予見できなかった」とか「想定外であった」という逃げ口上を云うことは許されない。瀬上という豊かな緑地を破壊するということだけにとどまらず、市街化を抑制すべきとされてきた市街化調整区域の大本の条件を変えて危険な宅地造成を認可しようとする行為について、許認可権を有する横浜市当局が、市民にたいする安全配慮義務を怠ったという行政法上、民事法上の責任が発生することを指摘しておきたい。
3 計画は、周辺住民の概ねの賛同は得られていない
都市計画提案を評価する指針として「周辺住民との調整および概ねの賛同が得られること」とされているが、公聴会における異例かつ意図的な世論誘導?を指摘するまでもなく、周辺住民の概ねの賛同とは云える状況ではない。平成19年時点の2回目の開発計画案に対しては9万余の反対署名があり、今回の提案に対しては前回にまさる11万余の反対署名が市長・市会に寄せられた。東急建設㈱は公聴会において「概ねの賛同」の世論を作り上げようとしたが、地権者サイドの仲間内の盛り上がりをもって周辺住民・地域住民の賛同を得たとすることはできない。それでも評価委は賛同があったことを前提に評価(提案採択)するのであろうか。
*資料:公聴会の事務局である建築局都市計画課によれば公述の申出件数2,518件(有効人数は2,478名)、その内訳は次の通り。
A: 1,895(開発賛成) B: 511(開発反対) CDE:72(その他)
■速報(2014.10.27追記)
今回の評価委の事務局となった都市計画課筋からの情報によれば、24日(金)午前10時から開かれた評価委は「審議を進めるにあたり、事業者サイドはじめ関連資料をもっと集めて慎重な判断に繋げる」との方向性を確認し散会したとのこと。必要とされる資料、今後の委員会の開催日程など具体的な事項については情報が届き次第レポートします。
緊急寄稿=署名の会:M1&M2
民間からも都市計画の提案ができるという都市計画提案制度により、東急建設㈱が横浜市に提案している「上郷猿田地区都市計画提案」の諾否をきめる都市計画提案評価委員会(評価委)がいよいよ24日に開かれる。
都市計画提案の問題点について環境部門、都市計画部門、河川部門、道路部門、あるいは地元の区など行政機関の各セクションと継続してきた議論では、最近は次々に新しい問題が発生しており、従来の課題は山積みで解決していない。
評価委員会がこうした問題について十分な検討を加えないまま、無定見にゴーサインを出す可能性があることが心配だ。次の指摘はその心配のほんの一部である。
1 計画は許認可の形式的要件を満たしていない
① 「整開保」を含む線引変更については行政が責任を持って行うべき行為であって、民間事業者が「まちづくり」の基本である線引(区域区分)の変更を提案することはなじまない。都市計画提案制度そのものは一つの手法として可としても、線引変更提案という提案はいわば脱法行為?である。行政機関はこの点について自覚をもって毅然として矜持を持って判断すべき事案である。
② 現行の「都市計画の整備、開発および保全の方針」(整開保)のもとで認可されることはない提案である。都市計画提案は仮に審査できたとしても許可できない案件である。神奈川県、横浜市においてそれぞれの議会で確認されている通りである。将来の法的環境が変化することを期待して、つまり将来整開保が改定されることを期待して都市計画提案を行ったとすれば、現行の整開保が生きているのであるから、本来ならば窓口却下とされるべき案件であった。
③ 市街化調整区域においては原則的に開発は抑制される。当該開発事業計画予定区域は「平成27年までに市街化をはかる区域に位置づけられていない」(平成24年3月助言書)とされている。こうした整開保の現状規定があり、また都市計画審議会の専門部会である線引小委員会で検討が行われているとしても、線引変更の将来は未定であり、27年以降の許認可を求める提案は法的根拠を持たず、許認可は法的効果を持ちえない。
2 開発計画の危険性は予見されており、横浜市の民事責任が発生する
都市計画提案に関する住民説明会、公聴会、アセス審査の過程で当該事業計画による軟弱地盤、液状化、洪水の危険性などが指摘されてきたが、これらに対する行政の対応は不十分である。このところ地球規模の気象変動により従来と異なる激甚な自然災害が多発しているが、横浜市においても都市開発のひずみを顕在化させる形で自然災害が発生している。いたち川の増水もかつてないほど脅威となってきた。行政の立場として、現行の法令に適合している以上は法令の基準に従って認可せざるを得ないと抗弁(強弁)している。
しかし50ミリを超える降雨が常態となっている現在、市民の安心安全を第一とすべき行政が、法令の不備を見過ごしにして、「予見できなかった」とか「想定外であった」という逃げ口上を云うことは許されない。瀬上という豊かな緑地を破壊するということだけにとどまらず、市街化を抑制すべきとされてきた市街化調整区域の大本の条件を変えて危険な宅地造成を認可しようとする行為について、許認可権を有する横浜市当局が、市民にたいする安全配慮義務を怠ったという行政法上、民事法上の責任が発生することを指摘しておきたい。
3 計画は、周辺住民の概ねの賛同は得られていない
都市計画提案を評価する指針として「周辺住民との調整および概ねの賛同が得られること」とされているが、公聴会における異例かつ意図的な世論誘導?を指摘するまでもなく、周辺住民の概ねの賛同とは云える状況ではない。平成19年時点の2回目の開発計画案に対しては9万余の反対署名があり、今回の提案に対しては前回にまさる11万余の反対署名が市長・市会に寄せられた。東急建設㈱は公聴会において「概ねの賛同」の世論を作り上げようとしたが、地権者サイドの仲間内の盛り上がりをもって周辺住民・地域住民の賛同を得たとすることはできない。それでも評価委は賛同があったことを前提に評価(提案採択)するのであろうか。
*資料:公聴会の事務局である建築局都市計画課によれば公述の申出件数2,518件(有効人数は2,478名)、その内訳は次の通り。
A: 1,895(開発賛成) B: 511(開発反対) CDE:72(その他)
■速報(2014.10.27追記)
今回の評価委の事務局となった都市計画課筋からの情報によれば、24日(金)午前10時から開かれた評価委は「審議を進めるにあたり、事業者サイドはじめ関連資料をもっと集めて慎重な判断に繋げる」との方向性を確認し散会したとのこと。必要とされる資料、今後の委員会の開催日程など具体的な事項については情報が届き次第レポートします。