上郷開発NO! 災害大国ニッポンからの警告
氾濫危険水位にあと19㎝ 台風11号の雨による増水でいたち川危機一髪でした
関東地方への接近の予報もあった台風13号が温帯低気圧にかわりやれやれと思うまもなく、早や14号発生の警戒信号が点滅し始めました。そんなわけで、遅ればせながら13号の状況に加え北海道や東北で大きな被害をもたらした台風11号がらみのレポートを。
8日の横浜地方は朝から不安定な雲行きで、時折強い雨が降ったかと思うときれいな青空が覗くといった状況で、傘が離せない一日でした。
登校時間前の7時半過ぎには栄区で俄かに横殴りの激しい雨となり、あわてて市の防災情報ページで河川水位をチェックしてみたのですが、本郷台駅から区役所に向かう途中のいたち川にかかる城山橋の下で38cmと急上昇。しかし栄消防署のデータによるこの時の雨量は8時で3mm、積算でも3mmに過ぎなかったのですね。
幸い台風11号による雨は横浜市では大した降雨量とはなりませんでしたが、いたち川の水神橋(区役所の1.4㎞下流)の観測点において、8月22日10時に最高水位261㎝を記録、溢水となる氾濫危険水位280㎝にあと19㎝に迫っていました。(河川水位・消防署雨量表は市のHP参照)
また、同じ柏尾川の支流の名瀬川栄橋では、氾濫危険水位130㎝を約30分にわたって突破していました。しかし、この観測地点では溢水まで多少余裕があり、実際には溢れることがなく、避難準備勧告が出されただけで済んでいます。

水神橋の上流、城山橋の観測点の水位
他方、両河川の水位が最高に達するまでの栄・戸塚の両消防署の降雨状況を見てみると、1時間当たりの雨量は8時~9時で概ね25㎜、9時~10時で35㎜となっています。すなわち最高水位に達する前に、8時以前の少ない降雨量を加算しての積算雨量でも5時間で約70数㎜にしかなりません。つまり、台風11号で各地で見られた1時間に100㎜のような豪雨に見舞われたら短時間で、川の水が溢れることになります。
現に2014年秋の台風18号の大雨で、いたち川は4カ所で溢水しました。
この時の1時間当たりの最大降雨量は約50㎜でした。もっともこの時の最高水位に達するまでの積算雨量は約250㎜でしたが、これまでの降雨の形態と水位上昇のデータから、いたち川は流域の地形からして、一時に降る大雨で容易に水位が上がり溢水に繋がる特性が見て取れます。横浜市と神奈川県は協働して河川の洪水対応能力向上に努めてきており、一応50㎜対応が終了し、60㎜対応に向け鋭意努力中です。
どの自治体もインフラの改善を急にアップするわけにはいかず、達成には長い年月がかかります。それまでは、防災情報を早めに発信し住民が即応することが要になります。
開発で、雨水を吸収しない道路や駐車場、建物の屋根などの面積が広範囲にわたり増加すると、規定通りの調整池(雨水の一時の流出を抑える貯水池)を設けても、100㎜に達する雨が降れば、洪水の危険性は間違いなく増大します。
上郷開発は、傾斜する軟弱地盤帯への宅地造成を伴い、これによる液状化や地滑りなどの自然災害に加え、この水害という自然災害の誘発も懸念されるところであり、デベロッパーが法的に許されるとして行うならともかく、横浜市という行政が「都市計画提案」として行うべき事業ではありません。開発ができる・できないの問題ではなく、緑地の全面保全を求める民意の大きさからしても行ってはならないことであると言えます。
●お知らせ
文中の表が読み難いため元データを探りたい方は以下の手順で。
横浜市のHPのトップ → 防災(右上にあります) → 防災情報 →災害情報 →水害のうち河川水位 → 境川水系のうち栄区の●をクリック
関東地方への接近の予報もあった台風13号が温帯低気圧にかわりやれやれと思うまもなく、早や14号発生の警戒信号が点滅し始めました。そんなわけで、遅ればせながら13号の状況に加え北海道や東北で大きな被害をもたらした台風11号がらみのレポートを。
8日の横浜地方は朝から不安定な雲行きで、時折強い雨が降ったかと思うときれいな青空が覗くといった状況で、傘が離せない一日でした。
登校時間前の7時半過ぎには栄区で俄かに横殴りの激しい雨となり、あわてて市の防災情報ページで河川水位をチェックしてみたのですが、本郷台駅から区役所に向かう途中のいたち川にかかる城山橋の下で38cmと急上昇。しかし栄消防署のデータによるこの時の雨量は8時で3mm、積算でも3mmに過ぎなかったのですね。
幸い台風11号による雨は横浜市では大した降雨量とはなりませんでしたが、いたち川の水神橋(区役所の1.4㎞下流)の観測点において、8月22日10時に最高水位261㎝を記録、溢水となる氾濫危険水位280㎝にあと19㎝に迫っていました。(河川水位・消防署雨量表は市のHP参照)
また、同じ柏尾川の支流の名瀬川栄橋では、氾濫危険水位130㎝を約30分にわたって突破していました。しかし、この観測地点では溢水まで多少余裕があり、実際には溢れることがなく、避難準備勧告が出されただけで済んでいます。

水神橋の上流、城山橋の観測点の水位
他方、両河川の水位が最高に達するまでの栄・戸塚の両消防署の降雨状況を見てみると、1時間当たりの雨量は8時~9時で概ね25㎜、9時~10時で35㎜となっています。すなわち最高水位に達する前に、8時以前の少ない降雨量を加算しての積算雨量でも5時間で約70数㎜にしかなりません。つまり、台風11号で各地で見られた1時間に100㎜のような豪雨に見舞われたら短時間で、川の水が溢れることになります。
現に2014年秋の台風18号の大雨で、いたち川は4カ所で溢水しました。
この時の1時間当たりの最大降雨量は約50㎜でした。もっともこの時の最高水位に達するまでの積算雨量は約250㎜でしたが、これまでの降雨の形態と水位上昇のデータから、いたち川は流域の地形からして、一時に降る大雨で容易に水位が上がり溢水に繋がる特性が見て取れます。横浜市と神奈川県は協働して河川の洪水対応能力向上に努めてきており、一応50㎜対応が終了し、60㎜対応に向け鋭意努力中です。
どの自治体もインフラの改善を急にアップするわけにはいかず、達成には長い年月がかかります。それまでは、防災情報を早めに発信し住民が即応することが要になります。
開発で、雨水を吸収しない道路や駐車場、建物の屋根などの面積が広範囲にわたり増加すると、規定通りの調整池(雨水の一時の流出を抑える貯水池)を設けても、100㎜に達する雨が降れば、洪水の危険性は間違いなく増大します。
上郷開発は、傾斜する軟弱地盤帯への宅地造成を伴い、これによる液状化や地滑りなどの自然災害に加え、この水害という自然災害の誘発も懸念されるところであり、デベロッパーが法的に許されるとして行うならともかく、横浜市という行政が「都市計画提案」として行うべき事業ではありません。開発ができる・できないの問題ではなく、緑地の全面保全を求める民意の大きさからしても行ってはならないことであると言えます。
●お知らせ
文中の表が読み難いため元データを探りたい方は以下の手順で。
横浜市のHPのトップ → 防災(右上にあります) → 防災情報 →災害情報 →水害のうち河川水位 → 境川水系のうち栄区の●をクリック