上郷開発NO! 2020 年頭にあたって
上郷開発の現状 2019―2020
災害発生リスクの高い土地の開発は避けるべき
年末、災害大国ニッポンについての現状レポートがメディアを賑わしました。
地球規模で見れば、わずか0.28%の国土しかない国の災害発生による被害金額が世界の17.5%を占めるという驚くべき数値。データは「防災白書」によるもので過去の数値なので、自然災害が多発・大規模化した2019年はさらに目をむくような結果が出るかも?
というわけで、年末にあたり「守る会」&「署名の会」世話人会による上郷開発の現状に関するアピールと、10月に行われた自然災害に関するシンポジウムのニュースをお届けします。

神奈川新聞 2019.10.14
上郷開発の現状について
2019年12月31日
年末に当たり上郷開発がいま、どのような状況にあるかお伝えします。
今年は、2月から3月にかけて深田製鉄遺跡の試掘が行われ、3月に現地説明会が開催されました。試掘により炉跡などの遺構や炉壁、土師器、須恵器、鉄滓が発見されています。
横浜市は試掘調査の結果、遺跡の範囲を把握できたとして、東急建設に対し今後、記録保存の発掘調査を行うよう指示しています。
5月には「横浜市開発事業の調整等に関する条例」に基づき東急建設による説明会が行われ、その後、質問書・再質問書の募集とそれに対する東急側の見解書・再見解書が提示されました。現在、東急は開発の同意を得るべく、横浜市との協議に入っている段階です。この後、開発事業の申請は来年後半に予定されています。従って、実際の開発は、まだ認可されたわけではありません。
この条例の目的には「周辺環境への配慮等」が記されています。上郷開発による周辺住宅地への悪影響や水害の増大など、開発自体が「周辺環境への配慮」に大きく逆行する行為であり、開発すべきではない旨の意見書を提出しましたが、東急建設は見解書・再見解書で「開発は横浜市が認めているよい計画である」とし、水害対策としては「条例で規定されている調整池を設ける」と答えています。
限界集落化が進んでいる周辺住宅地への悪影響は、開発してみないとわからないことであり、水害については9月3日に横浜で未曽有の1時間に100mmの豪雨が降っていることから、規定通りの調整池を設けても水害の規模と頻度が増大することは明らかです。
9月3日の豪雨は降雨時間にすれば1時間程度でしたが、市街化が進み緑地など雨水を吸収するエリアが少ない港南区においては、下水道が溢れて都市型水害が発生し、低地の鎌倉街道に集中した雨水で58台もの車が水没しています。緑地の割合が多い栄区では港南区のような水害は発生していませんが、上郷開発が行われれば都市型水害が発生し易くなります。
上記のように、最近の気象激化による水害の増大で、自治体の努力にもかかわらず、下水道や河川の整備がとても追い付いていない実態が明らかになってきました。国の防災方針も災害発生の予測を的確に行い、それを住民に遅滞なく周知することで早期の避難を行うことに重点が置かれるようになりました。これは、市街地開発において各種の規定を順守していても災害が防げないことを物語っています。そもそも自然に対し「治水」などというのはおこがましく、「耐水」という考え方を取り入れるべきとする識者の意見もあります。
気象庁のHPにおいても、現行の降雨の状況をリアルタイムに反映させた河川の増水状況に加え、最近は浸水の想定を表す危険度分布地図をアップするようになりましたので、ご案内します。いたち川や柏尾川の流域における洪水浸水想定区域の表示は間に合っていませんが、多摩川や鶴見川流域などにおいては、河川の氾濫原に市街地が広がってしまっていることが如実に表されています。
https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html
関連で、昨今は企業活動のあり方について単に収益性だけではなく社会的責任(CSR)や持続可能な発展目標(SDGs)、環境・社会・統治機能(ESG)等の指標に照らして評価する流れとなってきました。先般のCOP23においても日本は、地球温暖化に悪影響を及ぼす石炭火力発電所建設を世界的に広げているとして糾弾され、不名誉な「化石賞」を授与されることになりました。
これからすると、横浜市と東急建設には「地球環境搾取賞」の授与がふさわしいのかもしれません。すなわち、経済的利益のために緑地を壊して地球温暖化に与(くみ)し、周辺の住環境を悪化させる可能性が大きく、かつ、明らかに水害の増大をもたらす不要な市街地造成の強行は、まさしく「開発という名を借りた搾取(地球環境の利己的な利用)」に他なりません。
来年は、こうした課題・問題点を東急建設と横浜市に問いかけていきたいと考えています。
今後とも、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
以上
■資料:災害大国ニッポンの現状
日本は国土面積で世界の0.28%、人口比率でも1.9%しか占めていないが、2014年版の防災白書によると、マグニチュード(M)6以上の地震の18.5%は日本国内で発生し、活火山の7.0%が日本に存在する。

また、災害死亡者は世界の1.5%にとどまるものの、自然災害で発生する被害金額は17.5%にも上る。堤防の整備や防災技術の進歩もあり、かつてのように一度に1000人以上の犠牲者を出す台風のような災害は減ったが、近年でも死者・行方不明者が6000人を超えた1995年の阪神・淡路大震災、2万人の死者・行方不明者が出た2011年の東日本大震災をはじめ、豪雨や地震、火山噴火などによる大規模災害は頻発している。(nippon.com2019.9.30から)
災害発生リスクの高い土地の開発は避けるべき
年末、災害大国ニッポンについての現状レポートがメディアを賑わしました。
地球規模で見れば、わずか0.28%の国土しかない国の災害発生による被害金額が世界の17.5%を占めるという驚くべき数値。データは「防災白書」によるもので過去の数値なので、自然災害が多発・大規模化した2019年はさらに目をむくような結果が出るかも?
というわけで、年末にあたり「守る会」&「署名の会」世話人会による上郷開発の現状に関するアピールと、10月に行われた自然災害に関するシンポジウムのニュースをお届けします。

神奈川新聞 2019.10.14
上郷開発の現状について
2019年12月31日
年末に当たり上郷開発がいま、どのような状況にあるかお伝えします。
今年は、2月から3月にかけて深田製鉄遺跡の試掘が行われ、3月に現地説明会が開催されました。試掘により炉跡などの遺構や炉壁、土師器、須恵器、鉄滓が発見されています。
横浜市は試掘調査の結果、遺跡の範囲を把握できたとして、東急建設に対し今後、記録保存の発掘調査を行うよう指示しています。
5月には「横浜市開発事業の調整等に関する条例」に基づき東急建設による説明会が行われ、その後、質問書・再質問書の募集とそれに対する東急側の見解書・再見解書が提示されました。現在、東急は開発の同意を得るべく、横浜市との協議に入っている段階です。この後、開発事業の申請は来年後半に予定されています。従って、実際の開発は、まだ認可されたわけではありません。
この条例の目的には「周辺環境への配慮等」が記されています。上郷開発による周辺住宅地への悪影響や水害の増大など、開発自体が「周辺環境への配慮」に大きく逆行する行為であり、開発すべきではない旨の意見書を提出しましたが、東急建設は見解書・再見解書で「開発は横浜市が認めているよい計画である」とし、水害対策としては「条例で規定されている調整池を設ける」と答えています。
限界集落化が進んでいる周辺住宅地への悪影響は、開発してみないとわからないことであり、水害については9月3日に横浜で未曽有の1時間に100mmの豪雨が降っていることから、規定通りの調整池を設けても水害の規模と頻度が増大することは明らかです。
9月3日の豪雨は降雨時間にすれば1時間程度でしたが、市街化が進み緑地など雨水を吸収するエリアが少ない港南区においては、下水道が溢れて都市型水害が発生し、低地の鎌倉街道に集中した雨水で58台もの車が水没しています。緑地の割合が多い栄区では港南区のような水害は発生していませんが、上郷開発が行われれば都市型水害が発生し易くなります。
上記のように、最近の気象激化による水害の増大で、自治体の努力にもかかわらず、下水道や河川の整備がとても追い付いていない実態が明らかになってきました。国の防災方針も災害発生の予測を的確に行い、それを住民に遅滞なく周知することで早期の避難を行うことに重点が置かれるようになりました。これは、市街地開発において各種の規定を順守していても災害が防げないことを物語っています。そもそも自然に対し「治水」などというのはおこがましく、「耐水」という考え方を取り入れるべきとする識者の意見もあります。
気象庁のHPにおいても、現行の降雨の状況をリアルタイムに反映させた河川の増水状況に加え、最近は浸水の想定を表す危険度分布地図をアップするようになりましたので、ご案内します。いたち川や柏尾川の流域における洪水浸水想定区域の表示は間に合っていませんが、多摩川や鶴見川流域などにおいては、河川の氾濫原に市街地が広がってしまっていることが如実に表されています。
https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html
関連で、昨今は企業活動のあり方について単に収益性だけではなく社会的責任(CSR)や持続可能な発展目標(SDGs)、環境・社会・統治機能(ESG)等の指標に照らして評価する流れとなってきました。先般のCOP23においても日本は、地球温暖化に悪影響を及ぼす石炭火力発電所建設を世界的に広げているとして糾弾され、不名誉な「化石賞」を授与されることになりました。
これからすると、横浜市と東急建設には「地球環境搾取賞」の授与がふさわしいのかもしれません。すなわち、経済的利益のために緑地を壊して地球温暖化に与(くみ)し、周辺の住環境を悪化させる可能性が大きく、かつ、明らかに水害の増大をもたらす不要な市街地造成の強行は、まさしく「開発という名を借りた搾取(地球環境の利己的な利用)」に他なりません。
来年は、こうした課題・問題点を東急建設と横浜市に問いかけていきたいと考えています。
今後とも、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
以上
■資料:災害大国ニッポンの現状
日本は国土面積で世界の0.28%、人口比率でも1.9%しか占めていないが、2014年版の防災白書によると、マグニチュード(M)6以上の地震の18.5%は日本国内で発生し、活火山の7.0%が日本に存在する。

また、災害死亡者は世界の1.5%にとどまるものの、自然災害で発生する被害金額は17.5%にも上る。堤防の整備や防災技術の進歩もあり、かつてのように一度に1000人以上の犠牲者を出す台風のような災害は減ったが、近年でも死者・行方不明者が6000人を超えた1995年の阪神・淡路大震災、2万人の死者・行方不明者が出た2011年の東日本大震災をはじめ、豪雨や地震、火山噴火などによる大規模災害は頻発している。(nippon.com2019.9.30から)