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上郷開発NO! 上郷深田遺跡保全に向けて(備忘録)

積年の課題またも先送りか
上郷深田遺跡発掘調査報告、いつ?

春の兆し。されど、いまだ「ルール尊重」の兆しナシ?
諸般の事情で上郷深田遺跡の保全問題について横浜市(市教委)の対応を洗い直し、事なかれの現状を指摘してきた東京新聞・阿部記者のシリーズまとめの記事を紹介し忘れていました。
もはや新聞ならぬ旧聞。なんと昨年12月26日付けの朝刊に大きく載ったのですね。

「ルール軽視の横浜市」との大見出し。その締めくくりは「市の不誠実な対応に怒りを覚える」という、保存運動関係者の言葉です。
30年余りも発掘調査報告書の作成を放置した挙句、長年の「不作為」を認めつつなお具体的な善後策を示そうとしない担当吏員。丸川某議員ならきっと「この愚か者めが! このくだらん処置をしたバカ者ども、絶対忘れん!」と悪罵を投げつける(笑)……。とりあえずスクラップから。

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あいにくカラーコピーでは読みにくいので、モノクロ版をお届けします。

 東京新聞jpg

上郷開発NO! 上郷深田遺跡保全に向けて(続々)

横浜市の判断に注目!
どうする、どうなる 舞上線下の遺跡発掘調査 

いま、あらためて市道舞岡上郷線とその沿線緑地の下に眠る上郷深田製鉄遺跡の発掘をめぐる横浜市の対応が注目されています。で、27日に予定されているシンポジウムを前に、いくつか問題点を整理してみました。

埋蔵文化財については、文化財保護法でその取扱いが規定されていますが、それが十分遵守されてこなかったことから、1998年(平成10)になって文化庁次長が各都道府県の教育長あて、埋蔵文化財行政の改善・充実に努めるよう具体的な各種規定を記した通達を発信しています。(資料1)
これを受けて神奈川県は、翌99年に「開発事業等に伴う埋蔵文化財の取扱基準」(資料2)を設定しており、横浜市はこれに則り舞上線道路下の深田遺跡の発掘調査を行うこととなります。
この通知が具体的に規定する埋蔵文化財の取扱いとして、「恒久的な工作物の設置により相当期間にわたり埋蔵文化財と人との関係が絶たれ、当該埋蔵文化財が損壊したのに等しい状態となる場合は、発掘調査を行うものとすること」というものがあり、道路については下図のように規定しています。

  別表文書1

横浜市は市会において「開発に伴う舞上線道路下の深田遺跡の発掘調査は、開発業者である東急建設が主体者である」との説明をしていますが、道路用地は横浜市の所有であり、発掘調査については横浜市が判断し実施することとなります。20数年前の地方分権の推進により権限移譲が行われ、横浜市が行った判断を神奈川県が追認する形となります。
特別自治市を標榜する横浜市が、この機会を逃すと永久に知ることができない深田遺跡の実態について、発掘調査には費用がかかるものの、法令等の趣旨を重く受け止め、見識のある判断を示し得るか注目が集まっています。

関連で11月9日の朝日新聞夕刊は、後鳥羽上皇の離宮の一部と思われる大阪府の遺跡について、十分な検証が行われないまま今年10月に埋め戻しされたことを報じています。
これは、深田遺跡が35年前に不十分な発掘調査のまま、埋め戻されたことと類似しており、今もって埋蔵文化財の取扱いが開発優先になっていることを示しています。(資料3)

さて、どうする? どうなる? 横浜市の対応! 山中市長、鯉渕教育長はもとより市の審議会の見識が問われる。(資料4)


■資料1 文化庁による各都道府県教育長あて通達
 
 ドキュメント (1)-1
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 ドキュメント-13



■資料2 神奈川県内の開発事業等に伴う埋蔵文化財の取扱い基準   
  神奈川県内の開発事業等に伴う埋蔵文化財の取扱い基準-1
神奈川県内の開発事業等に伴う埋蔵文化財の取扱い基準-2

■資料3 開発優先で地下に埋め戻された後鳥羽上皇ゆかりの越谷遺跡
2022 11 9 朝日新聞夕刊」 (1)-1
2022 11 9 朝日新聞夕刊」 (1)-2
   朝日新聞 11月9日夕刊


■資料4 横浜市文化財保護審議会委員一覧
委員05

上郷開発NO! 上郷深田遺跡保全に向けて(続)

危うし!道路直下および周縁部の遺跡 
「文化財保護はお題目か」との声大きく紹介 東京新聞

文化の日の3日、横浜市民にとって貴重な埋蔵文化財である上郷深田遺跡(栄区上郷町)の全面的発掘・調査、保全を求める動きを伝える記事が東京新聞に載り、大きな反響をよんでいます。

2018年1月、第147回横浜市都市計画審議会で決定され早くも4年半。
人口減少と高齢化による都市行政の転換期に直面しながら、なお郊外部緑地の大規模開発をベースに新たな宅地造成や商業施設建設をめざす「周回遅れ」の上郷猿田開発事業計画。

記事は「上郷深田遺跡の保存を求める会」(竹岡健治代表)が27日に開く予定の特別シンポジウムの開催要領も紹介されており、市の文化財保護の本気度?を問う問題提起となっています。

 20221103 深田遺跡保存 2東京新聞-1
  Special thanks 東京新聞 11月3日 

お知らせ
遅ればせながら、10月27日のブログを加筆、資料3として10月4日の市会定例会決算第一特別委の長谷川えつこ議員(栄区)による教育委員会関連審査のうち深田遺跡についての質疑詳報(中継録画の書き起こし)を載せました。

上郷開発NO! 上郷深田遺跡保全に向けて

11・27 保存求め緊急シンポジウム開催
上郷深田遺跡の歴史的意義と現状について語ろう

東京新聞による調査報道や先の市会定例会における質疑を通じて改めて浮上した都市開発と埋蔵文化財の保全問題。
高度成長期の人口急増に伴う大規模な宅地開発と道路整備の過程でその片鱗が明らかになった「上郷深田製鉄遺跡」について、その歴史的意義と発掘・保全の現状そして未来について語り合おうというシンポジウムが11月27日に開かれるとの案内が届きました。

主催は#上郷深田遺跡の保存を求める会(竹岡健治代表)。パネラーは古代史研究者の藤田武さん、同遺跡の研究者である小宮恒雄さんに加え、保存を求める会のメンバーでもある皆川昭一・署名を求める会代表世話人の3人です。
文化財保護問題に限らず、「人口減少社会」なのに「住宅過剰社会」という不思議な国に住んでいる(野澤千絵『老いる家 崩れる街』=講談社現代新書より)という、横浜の住宅・都市政策、とりわけ上郷開発問題についても考え直すきっかけになればいいのですが。

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追記:仮調査について横浜市埋蔵文化財調査委がまとめた「上郷深田遺跡発掘調査概報~都市計画道路舞岡上郷線敷設計画に伴う埋蔵文化財調査概報~」(1988.3刊)は中央・栄・磯子・金沢の4図書館に計9冊あり、館外貸し出しも可。
 

上郷開発NO! 上郷深田製鉄遺跡問題 Ver.3(11/03加筆)

深田遺跡の全容解明へ、待ったナシ
市会質疑で明らかになった現状と問題点

9月5日から10月14日まで開かれた市会の第3回定例会。決算第一特別委における長谷川悦子議員(立憲、栄区)の一連の追及によって、上郷深田遺跡問題の概要と問題点がほぼ明らかとなっています。現段階において一応分かったことを簡単にまとめてみました。

長谷川議員への教育委員会(10月4日)&道路局(同13日)の答弁の整理と問題点

1 当局答弁の整理
・暫定2車線工事区域について
①暫定2車線で供用開始した部分は横浜市が事業者(東急建設が協力)であるから、発掘調査し「概報」(1988)を作成した区域については道路局が教育委員会と調整をとりながら最終報告書(記録保存)を作成する(30年目にしてやっと! 当時の関係者が、かつてなかった画期的なことと感動した。)。
・未調査区域について
②発掘調査を中断し埋め戻した4車線拡幅部分は都市計画提案により整備(4車線化)することになっているから、開発事業者である東急建設が発掘調査をすることになる(東急建設は「横浜市の事業である」としています)。

2 答弁の問題点
・埋め戻しについての合意文書の不在
①相談して埋め戻した合意者は教育委員会と道路局である(道路局長答弁)としているが、しかし当時の合意文書は存在しない(開示請求への回答)。局長答弁の根拠が不明である。
・東急建設は埋め戻し区域の試掘調査をしていない
②東急建設の試掘調査(2019年)の際、未調査部分の試掘調査は行われなかった。東急建設がすべき発掘調査であるなら、この未調査部分の試掘調査も同時に行われるのではなかったのか。試掘調査はいつやるのか(やらせるのか)。未実施のまま4車線拡幅工事を行うなら文化財保護法違反となる。

■資料1:遺跡問題についての横浜市の責務を問うコラム(東京新聞)

  東京新聞 2022 10 23
   東京新聞 10月23日付け朝刊

注:地道な調査報道で、港北ニュータウンはじめ大規模開発の荒波に呑み込まれてしまった歴史遺産をめぐる行政の「不作為」について警鐘を鳴らした東京新聞の阿部記者が今回はコラムでこの問題を取り上げています。

■資料2:道路局関連審査(10月13日)のうち深田遺跡についての質疑詳報
注:市会HPの中継録画から該当質疑を書き起こしてあります。(文責=ブログ編集担当)

深田遺跡に関する長谷川えつこ議員の道路局への質疑
会議名:令和3年度決算第一特別委員会(道路局関係)
会議日:2022年(令和4)10月13日(木) 

長谷川委員:先日教育委員会での質疑で鯉渕教育長から、今後予定されている開発事業によって上郷深田遺跡が調査されないまま破壊されないよう、発掘調査を行い記録保存できるよう事業者と協議するとの回答をいただきました。
そこでまず、舞岡上郷線建設時における遺跡の存在の認識について建設部長に伺います。

田中建設部長:上郷深田遺跡につきましては、建設当時から遺跡の存在は認識しておりまして、舞岡上郷線の工事着手前の昭和61年から62年にかけて横浜市埋蔵文化財調査委員会に委託しまして発掘調査を行い、調査概報としてとりまとめました。

長谷川委員:昭和63年に刊行された上郷深田遺跡発掘調査概報を確認いたしましたが、調査概報では一部を未調査のまま埋め戻して保存したと記録があり、遺跡全体は明らかになっていません。そこで、一部を未調査のまま発掘調査を終了した理由について建設部長に伺います。

田中建設部長:建設当時、道路の工事によって遺構が失われるおそれがないことから、埋め戻して保存することを教育委員会と合意しまして調査を終了いたしました。

長谷川委員:上郷舞岡線の上郷地区は現在2車線で供用されていますが、都市計画では4車線と定められています。そのため今後拡幅工事の機会をとらえて未調査部分も文化財保護法に基づく発掘調査を行い、現状保存もしくは報告書を刊行すべきと考えます。
そこで、今後上郷舞岡線の拡幅工事を行う際は詳細な発掘調査を実施すべきと考えますが局長の見解をお伺いいたします。

高瀬道路局長:舞岡上郷線の拡幅整備は栄区上郷猿田地区における都市計画提案に基づき開発事業者が実施するため、発掘調査についても開発事業者が対応することと考えております。なお、供用済みの2車線部分につきましては報告書の刊行について教育委員会と調整してまいります。

■資料3:教育委員会関連審査(10月4日)のうち深田遺跡についての質疑詳報
注:市会HPの中継録画から該当質疑を書き起こしてあります。(文責=ブログ編集担当)

深田遺跡に関する長谷川えつこ議員の教育委員会への質疑
会議名:令和3年度決算第一特別委員会(教育委員会関係)
会議日:2022年(令和4)10月4日(火) 

長谷川委員:次に上郷深田遺跡についてお伺いいたします。上郷深田遺跡は、飛鳥時代後期から奈良時代を経て平安時代前期までのおよそ200年ものあいだ、地形を生かして営まれた製鉄遺跡です。舞岡上郷線の道路建設に伴い1986年から87年にかけて横浜市埋蔵文化財調査委員会によって発掘調査が行われ、製鉄関係の炉を中心に20カ所以上の遺構が検出されました。調査の結果は地域の歴史や文化財を解明する上で重要な歴史的資料となり、しっかりと市民に還元すべきと考えます。上郷深田遺跡は県内唯一の製鉄遺跡といわれています。そこで、この遺跡の重要性をどのように認識しているのか、生涯学習担当部長に伺います。

鈴木生涯学習担当部長:昭和61年から62年にかけて行われた発掘調査で、製鉄に関係すると考えられる遺物や炉の跡などが発見され、7世紀中ごろから9世紀前半にかけて営まれた古代の製鉄遺跡の存在を確認しております。今後、隣接するエリアで開発が予定されていますので、事業者の理解を得ながら記録保存するための発掘調査を行う予定です。

長谷川委員:上郷深田遺跡は道路建設に伴う調査においては一部発掘調査をしたものの、道路下は未調査部分もあり全体像は明らかになっていません。未調査部分は埋め戻され2車線の暫定道路が走り、調査部分は発掘調査概報のみが刊行されています。文化庁の見解では「概報だけでは正式な報告書にならない」とされています。平成19年3月に定められた神奈川県内における開発事業等に伴う埋蔵文化財発掘調査の調査基準において、発掘調査報告書は原則として発掘作業終了の翌年度から3年以内に刊行するとされており、30年以上放置されたまま自治体が発掘調査報告書を作成しないことは、あってはならないことです。そこで、調査報告書をいますぐに作成すべきと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。

鯉渕教育長:発掘調査報告書は、埋蔵文化財の発掘作業から整理作業に至る発掘調査全般の成果を適格にまとめたもので、発掘調査はこの報告書が適切に刊行されることによって完了いたします。舞岡上郷線の道路建設に伴う発掘調査については報告書が刊行されておりません。発掘調査による記録保存が完了していない状況ですので、事業者である道路局と報告書の刊行に向けて調整してまいります。

プロフィール

上郷/署名の会

Author:上郷/署名の会
横浜7大緑地の1つ「瀬上市民の森」に連なる瀬上沢はホタルの自生地として知られ、貴重な動植物が生息する自然の宝庫です。またみどり豊かな里山風景を今に残し、古代の製鉄遺跡や江戸時代に使われた横堰などの文化遺産も眠る横浜市民共有の財産とも言うべき緑地です。
その瀬上沢に大規模な上郷開発計画が浮上したのは2005年。瀬上沢を愛し、それぞれに保全運動をしてきた市民は、2007年6月に「上郷開発から緑地を守る署名の会」を結成、開発計画の中止と緑地の全面保全を求める活動を開始し、同年12月、市内全域はもとより全国各地から寄せられた92000筆あまりの署名を添えて横浜市長と市議会に陳情書を提出しました。
2008年9月、横浜市都市計画審議会は計画を承認せず、「上郷開発事業」は中止となりました。しかし地権者でもある開発事業者・東急建設は引き続き「開発の意思」を表明。2012年1月、ついに第3次開発計画の事前相談書を横浜市に提出しました。私たち「署名の会」はあらためてこの開発プランの問題点を指摘、瀬上沢の全面保全を求めて新たな活動を開始しました。
そして2014年1月に始まった新たな動きがいま地域の住環境・自然環境を揺るがす重大な岐路に……。

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